電子部品用めっき液の有力企業 石原ケミカル 【4462・プライム市場】

創業120年超、電子部品・自動車で独自性を築く
強みの開発力で隣接市場や新分野の開拓進める

界面化学を基に、電子部品や自動車関連向けの化学品などを開発する石原ケミカル。1900年の設立当初は卸売りが主業だったが、次第に開発へ注力してきた。今期からの中期経営計画では、現在の商圏である電子・自動車・工業薬品を軸に、隣接分野や新地域へ進出。加えて、新たな柱となる先端電子材料も育成する。既存・新規事業の両輪で、2027年3月期に売上高274億3000万円、営業利益45億1000万円を目指す。
石原ケミカル-藤本 昭彦

藤本 昭彦(ふじもと あきひこ)

社長

1961年8月生まれ、兵庫県出身。85年大阪経済大学経済学部卒業、石原薬品(現石原ケミカル)入社。2022年執行役員、23年取締役。24年代表取締役社長(現任)。

物質の表面を操る化学製品群
高シェアの電子向け・高利益の自動車向け擁する

「界面化学」とは、物質と物質の境目で生じる現象に関する化学のこと。物質の表面が濡れたり、接着したりするのが一例だ。石原ケミカルは、この界面化学を用いた化学品を開発している。

2024年3月期業績は、売上高が前期比1・8%増の207億500万円と過去最高。営業利益は同8・9%増の23億2800万円、営業利益率は11・2%だった。売上高をセグメント別に見ると、「金属表面処理剤・機器等」が51%、「電子材料」が3%、「自動車用化学製品等」が17%、「工業薬品」が29%となる(下図参照)。

売上が最も大きい金属表面処理剤・機器等事業の主力製品は、「電子部品用めっき液」だ。めっき液は金属イオンが溶け込んだ液体で、主に電気的に対象物の表面に金属を析出させることにより、表面にあらゆる機能を付加できる。

同社が得意とするのは「錫(スズ)」を使っためっき液だ。錫は耐食性に優れ、融点が低く、柔らかいなどの特性を持つ。このめっき液はPCやスマートフォン、テレビ、自動車などに内蔵される半導体の電子部品と、プリント基板を接合する用途で使われる。同社の「鉛フリー錫及び錫合金めっき液」は、国内トップシェアを誇る。さらに、めっき液の濃度などを管理する分析装置も展開する。

電子材料事業では、セラミックスや樹脂を使った製品などを展開する。

自動車用化学製品等事業は、売上は全体の17%に留まるものの、セグメント利益率は26%と高いのが特長だ。同事業では「ユニコン」ブランドやOEMで、自動車用のエアコン洗浄剤や整備用ケミカル製品、ボディコーティング剤、洗剤などを展開。一般消費者向けではなく、ディーラーや整備工場などの業務用に特化している。自動車アフターマーケットのBtoCにおいてはプレイヤーが多いが、BtoBで法人顧客と関係を密にすることで、価格競争にさらされにくい体制を築いた。

祖業にあたる工業薬品事業では、製鉄メーカーや重工メーカーなどに向けて、化学薬品の仕入れ販売を行う。

有料会員限定

続きを閲覧するには会員登録が必要です。
すでに会員の方は
ログインして閲覧してください。

ログイン SEARCH