日本カーバイド工業 【4064・プライム市場】

80年超の歴史を持つ総合化学メーカー
構造改革から持続的成長のフェーズに転換

日本カーバイド工業は、近代化学工業の発展に欠かせないカーバイド※を原料に創業した総合化学メーカーだ。コア技術である「樹脂重合技術」「フィルム・シート技術」「セラミック焼成技術」を軸に技術を融合させることで、最先端の電子機器から自動車・交通関連、化粧品、医薬、農業まで幅広い製品・サービスに採用されている。業績面ではバブル時代の投資負担で大きな損失を出すこととなったが、徹底した構造改革の結果、現在は回復。2020年に就任した杉山孝久社長の下、新たな成長ストーリーの実現に取り組んでいる。
日本カーバイド工業-杉山 孝久

杉山 孝久(すぎやま たかひさ)

社長

1959年11月、群馬県生まれ。千葉大学工学部卒業後、82年4月旭硝子(現AGC)入社。エレクトロニクス&エネルギー事業本部光部品事業部長、執行役員電子カンパニー電子部材事業本部長等を歴任。2020年3月、日本カーバイド工業顧問就任、6月、代表取締役社長社長執行役員に就任(現任)。

グローバルトップ製品を数々提供

同社は1935年、カーバイドを原料とするアセチレン誘導工業の「有機合成技術」を基にスタート。時代や社会のニーズとともに事業の再構築を行い、現在はコア技術の「樹脂重合技術」「フィルム・シート技術」などの高い技術を融合させて、様々な製品に採用されている。

セグメントは大きく4つに分かれる。主力の「電子・機能製品」は、ファインケミカル製品や医薬品原薬などの機能化学品、粘・接着剤などの機能樹脂、半導体用金型クリーニング材、セラミック基板などの電子素材の製造・販売。「フィルム・シート製品」はマーキングフィルムや車体装飾に使われるステッカー、再帰反射シートなど。「建材関連」はビル・住宅用アルミ建材や内装建材用プラスチック押出製品など。「エンジニアリング」は鉄鋼・化学・環境分野の産業プラントの設計・施工などを行う。

同社は代替のない、高い市場シェアを持つ製品を多く有する。例えば、電子素材のセラミック基板は、先端品では薄さ0・07ミリにもなる薄板基板や多連基板といった高付加価値品で約80%のシェア。また半導体生産工程で使用され、金型の樹脂汚れを除去するメラミン樹脂製のクリーニング材(ニカレットECR)も世界トップクラスだ。

「金型のクリーニング材はメラミン系とラバー系があり、前者が6割、後者が4割を占めています。当社はメラミン系が強く、その9割程度の市場シェアを持っています」(杉山孝久社長)

2022年の3月期の連結売上高は、前期比11・3%増の470億300万円、営業利益は同33・7%増の31億9200万円。売上構成では、電子・機能製品事業42・3%、フィルム・シート製品事業 33・4%、建材関連事業15・5%、エンジニアリング事業8・8%となっている。

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