量販店向けアパレル主流
しまむら向け納品が3割
タキヒヨーのセグメントは、売上の90%を占めるアパレル・テキスタイル関連事業、同1・4%の賃貸事業、同6%のマテリアル事業、同1・5%のライフスタイル事業、その他で構成される。
主要のアパレル・テキスタイル関連事業の売上構成は、レディスアパレル44・7%、ベビー・キッズ21・4%、テキスタイルOEM14・8%、ホームウェア10・4%、メンズ4・2%、その他4・5%。アパレル分野では、120人を超える自社デザイナーによるマーケットリサーチ・企画・デザインから、中国・ASEANにある約200の提携工場への生産発注、大型センターによる品質管理・物流までを一貫して手掛ける。強みは、「Disney」や「EDWIN」などのライセンス商品。取引先は全国の量販店や専門店で、中でもしまむら(8227)は納品先の3割強を占める主要取引先だ。なおテキスタイルでは国内自社工場で生産した毛織物などをメーカーや商社に販売している。
営業利益率65%の不動産賃貸事業や、化成品・合成樹脂の販売を行なうマテリアル事業は、売上比率こそ低いものの、同社の利益を下支えする事業である。
60年代に洋装へ転換
量販マーケットを創造
同社の創業は1751年。初代兵右衛門が絹織物の卸売業を創業したのが始まりだ。1875年に名古屋に本店を移設してからは、名古屋銀行(後の東海銀行)開設、学校開設、日本初の国際ホテル開業、橋の寄進など、名古屋の名門として地域に貢献してきた。呉服の繊維卸を主業としてきたが、転機は1962年。伊藤忠で勤務していた七代目が、和装から洋装への大転換を図った。カリフォルニアのアパレルブランドからマーチャンダイザー、デザイナー、生産担当を招聘し、洋服のものづくりを習うところから始めたという。国内で量販店が次々に誕生した60年代後半~70年代初頭には、ジャスコ(現:イオン)やユニーなど、各社の合併を仲立ちし、量販マーケットを創造。その後拡大する量販店への卸の布石となった。長い歴史の中ではオイルショックによる業績悪化、バブル期の好調など、波の浮き沈みを経験してきた。
「単体での過去最高売上は93年に1014億円、営業利益は91年に33億円に届きました。ダナキャランのライセンス商品がヒットした時代ですね。近年の売上は2016年に843億円までいきましたが、以降は停滞気味です。量販店用製品を作り出してから50年経ち、社内全体が安定に慣れ、世の中のスピード感の変化に出遅れてしまったことが要因です。昔は半年掛けて製造していたものを、45日で納品する時代になりました。22年の20億円超の赤字は、シェア奪回のために売上増を重視したため、物流などのコストが上がってしまったためです。そこで黒字化への道筋を立てました」(滝一夫社長)
同社では前期より、3か年計画として「リバイタライズプラン(黒字体質復活計画)」をスタートさせた。その結果、23年2月期は売上高が前期比15%増の618億1300万円。営業利益は4期ぶりに黒字回復し、9400万円で着地。中でもアパレル・テキスタイル関連事業は、売上高が前期比14・4%増の561億4600万円、営業損失も前期26億4200万円から3億9800万円に大幅縮小し、復活の兆しを見せている。
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