印刷インキで世界トップシェア DIC 【4631・プライム市場】

25年度売上高1兆1500億円へ
早期収益化見込める「スマートリビング領域」注力

DICは62の国と地域で事業を展開している世界最大の印刷インキメーカーだ。インキ原料の有機顔料、熱可塑性樹脂でスーパーエンプラといわれるPPSコンパウンドでも世界シェア首位を誇る。同社は24年2月、22年に公表した長期経営計画の見直しを発表。25年度までに売上高1兆1500億円、営業利益400億円を目指す。また、早期の収益化が見込まれる「スマートリビング領域」に注力していく。
DIC-池田 尚志

池田 尚志(いけだ たかし)

社長

1965年5月生まれ。大阪府出身。90年大日本インキ化学工業(現DIC)入社。2020年執行役員、コンポジットマテリアル製品本部長、22年常務執行役員、ファンクショナルプロダクツ事業部門長、コンポジットマテリアル製品本部長、24年1月社長執行役員、同年3月代表取締役社長執行役員(現任)。

3つの事業部門で構成
売上の7割、印刷インキと顔料

DICは世界に185社のグループ会社を持ち、海外売上高比率は約68%を占めている。事業部門は3つから成る。

売上の約5割を占めるのが「パッケージング&グラフィック事業部門」。祖業である印刷インキをはじめ、食品や日用品などに使用する包装材料を中心に展開する。

そのうち、「プリンティングマテリアル事業」では、各種パッケージ印刷に使用するグラビアインキ、出版印刷に使用するオフセット、新聞インキ、デジタル印刷に使用するインクジェットインキなど幅広い用途のインキを製造・販売する。

また、「パッケージングマテリアル事業」では、食品や日用品などに使用する包装用接着剤、包装用フィルム、容器用ポリスチレンなどの材料を展開する。

売上の約2割を占める「カラー&ディスプレイ事業部門」では、世の中の色のもとになる様々な用途の顔料と同社独自の藻類技術に基づくスピルリナに代表されるヘルスケア製品を製造・販売する。

そのうち、「カラーマテリアル事業」では、インキや塗料、プラスチック用などの汎用用途だけでなく、テレビ画面などのディスプレイ向けカラーフィルター用、化粧品用といった機能性用途など幅広い市場に顔料製品を提供。加えて、スピルリナを中心とした天然由来材料を、ニュートリション、天然色素、化粧品素材へと展開する。

「当社の売上の約7割は印刷インキと顔料。出版向け需要は減っていますが、様々な商品のパッケージや、家具などの化粧シートをとってみても、印刷物は世の中にたくさんあります。またプラスチック、金属など、世の中にあるすべてのものに色をつけているのが顔料。これらを100年以上にわたって提供させていただいており、極めて安定した収益基盤を持っています」(池田尚志社長)

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