スリー・ディー・マトリックス 【7777・グロース市場】

MIT発バイオマテリアル基盤に医療製品開発
24年4月期に売上70億円、営業黒字化を目指す

スリー・ディー・マトリックスは、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)で発明された「自己組織化ペプチド」技術を基盤に、医療製品の開発・製造・販売を行っている。すでに外科医療の分野では2製品を販売しており、24年4月期の営業黒字化に向けて収益拡大を図っている。また巨大市場である組織再生、DDS(※1)の領域でも新市場獲得を目指し、複数の製品の開発を進めている。
スリー・ディー・マトリックス-岡田 淳

岡田 淳(おかだ じゅん)

社長

1974年7月生まれ。東京大学法学部卒、フランスINSEAD校経営学修士(MBA)。98年ベイン・アンド・カンパニー東京事務所入所。ベンチャーキャピタルのバイオ投資支援、製薬企業の開発支援など多数のプロジェクトに携わる。2005年スリー・ディー・マトリックス入社。07年取締役就任。16年代表取締役社長就任(現任)。

安全で適合性もある
バイオマテリアル

同社は「自己組織化ペプチド」をコア技術に、各医療領域での実用化を目指した開発に取り組んでいる。自己組織化ペプチドとは、もともと人体にあるアミノ酸から成るペプチドで構成されたバイオマテリアルのこと。ペプチドを生理的条件下に置くと、ペプチド同士が自然に自己集合しゲル化(自己組織化)するという技術だ。同社は、MITから独占的に自己組織化ペプチドの特許のグローバルライセンスを取得している。

医療現場では、動物由来のバイオマテリアルが多く使われているが、動物由来のものは人体への馴染みがいい反面、不純物質が混入しているリスクがある。一方、自己組織化ペプチドは工場で生産されるため安全性が高く、アミノ酸で構成されているため人体への適合性もある。また品質の安定性もあり、用途に応じたバリエーションが作れる。こうした特性から、様々な医療現場での実用化が期待される。

同社ではオープンイノベーションにより、100以上の共同研究機関や大学と常に新しい用途の探索を進めている。現在は、外科医療、組織再生、DDSの3領域で実用化を目指し、複数の製品開発に取り組む。

「バイオマテリアルは、承認申請で医療機器に分類されます。医薬品は臨床試験も多く上市まで10年以上かかりますが、医療機器は3~4年と短く、開発費も医薬品に比べ10分の1ほどです。1つ承認が取れると適用拡大ができるので、開発スピードも非常に早いです」(岡田淳社長)

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