特殊空調処理のソリューションカンパニー 西部技研 【6223・スタンダード市場】

EV電池や半導体製造現場で需要急増
国内好調のドライルーム提供を海外へ

西部技研は車載バッテリーや半導体などの製造現場で用いられる、特殊空調処理のソリューションカンパニーだ。欧州や米国に拠点を持ち、約50カ国で販売、海外売上比率は8割を占める。2023年10月の上場だが、歴史は古く創業は1962年。産業用空調機器の心臓部であるローターの製造・販売から始まり、2000年代からは完成品の販売も開始。近年では工場のドライルームやクリーンルーム自体の設計・施工まで行うソリューションビジネスへと事業領域を拡大している。
西部技研-隈 扶三郎

隈 扶三郎(くま ふみお)

社長

1964年5月生まれ、福岡県出身。福岡大学法学部経営法学科卒。87年、西部技研入社。90年、米国ニチメン出向。93年に西部技研の国内営業部に戻り、専務取締役営業本部長を経て、2002年に代表取締役社長就任。24年、代表取締役社長執行役員就任(現任)。14年、春の藍綬褒章受章。

売上高3期連続過去最高更新
デシカント除湿機が6割強

西部技研の2023年12月期業績は、売上高が過去最高の287億2500万円、営業利益は42億9800万円となった。

売上高の65%を構成するのが、「デシカント除湿機関連」の売上だ。同製品は食品製造や製薬、発電所といったドライな環境を必要とする場で活用されているが、近年は車載バッテリーなどの電池製造現場で、需要が本格化している。同社はデシカント除湿機のグローバルハイエンド市場において、スウェーデンのムンタース社に次ぐ2位の座にある。

また同25%を構成する「VOC濃縮装置」は、グローバルでトップシェアを獲得している。同製品は揮発性有機化合物を含む排ガスを濃縮する機能があり、近年は半導体の製造現場で需要が急増している。

「両製品ともに、当社のコア技術である『ハニカム構造体』を活用しています。お客様が求めているのは除湿機や濃縮装置というよりも、ドライな環境であり、クリーンな環境です。そこで当社は『ハニカム構造体の効果を最大限に引き出して、お客様に必要な環境を提供』しています。これが創業当時から一貫している当社の事業ドメインです」(隈扶三郎社長)

同社ではあらゆる素材をさまざまなサイズでハニカム(蜂の巣)状に成形し、その素材に吸着剤や脱臭剤を添着・担持する技術に強みを持つ。機能性ハニカムはローター化することで、空気の質をコントロールできる。同社はこのハニカムローターを肝に、部品の製造から空調機器の製造、そして工場のドライルーム・クリーンルーム自体の設計・施工へと事業領域を拡大してきたのである。

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