中四国エリアでトップシェアの医療機器商社 オルバヘルスケアホールディングス 【2689・スタンダード市場】

4期連続過去最高業績、社内教育で安定成長
新規事業やタイ進出を新たな成長の柱へ

創業100年を超える医療機器商社のオルバヘルスケアホールディングスが、売上高・営業利益ともに過去最高を更新し続けている。岡山に本社を置く同社は、西日本エリアを主な商圏とし、中四国エリアではトップシェアを誇る。30年程前から独自の社内教育制度を導入し、専門性の高い人材の育成が同社成長の源泉となっている。中期経営計画では社内のDX化やIT人材育成を推進しつつ、新規事業や海外事業を新たな成長の柱にしていく。
オルバヘルスケアホールディングス-前島 洋平

前島 洋平(まえしま ようへい)

社長

1967年2月生まれ、岡山県出身。91年医師免許取得、岡山大学医学部附属病院内科研修。97年医学博士号取得(岡山大学)。98年米国ハーバード大学医学部リサーチフェロー。2001年岡山大学医学部附属病院助手。08年岡山大学医学部・歯学部附属病院講師。11年岡山大学大学院医歯薬学総合研究科教授兼東北大学加齢医学研究所・共同研究員。14年カワニシホールディングス(現・オルバヘルスケアホールディングス)取締役。15年代表取締役社長(現任)。18年経営学修士号取得(GLOBIS経営大学院)。

医療器材事業が売上の93%
地域別売上は中四国で6割

同社は、医療機器の販売を行う「医療器材事業」を主力に、医療機関向けに物品の購買管理を行う「SPD事業」、介護福祉用具のレンタル・販売を行う「介護用品事業」の3事業を柱に展開する。

売上の約93%を占める医療器材事業は、約2000社のメーカーや代理店から医療機器・器材を仕入れ、病院など約4000の医療機関へ納品し、医療現場を総合的にサポートしている。取扱製品はガーゼや注射器などの消耗品から、心臓用カテーテル、人工膝関節、麻酔器、CT、MRIなどの大型装置まで約85万種類。主要商品群別の売上構成は、手術関連消耗品が42%、整形外科消耗品が23%、循環器消耗品が20%、設備・備品が15%(2024年6月期、下図参照)。

主な取引先は地域の基幹病院で、循環器科、整形外科などの専門性の高い診療科を得意とする。地域別の売上構成は、トップシェアを持つ中四国が6割以上を占め、関西が約12%、東北が約20%、関東・その他が2%弱となっている。

「医療機器はただ納品するだけではなく、使い方などのアフターケアも必要ですので、医療者と販売事業者の関係性が非常に強いです。そのため有力な販売業者がいる地域に、外部から参入するのはなかなか難しい業界。また顧客との信頼も大事ですが、顧客情報を持っていることからメーカーからも重宝されます。そういう意味では、当社はある程度地域の代表的な代理店になりつつあり、それが売上の成長にも繋がっていると思います」(前島洋平社長)

医療機器の国内市場規模は、少子高齢化を背景に、毎年平均2~3%の伸び率で自然成長していると言われている。

同社の24年6月期の業績は、売上高1185億6400万円(前期比7・3%増)、営業利益22億2600万円(同3・5%増)と市場成長を上回る伸びを達成し、25年6月期も売上高1237億2600万円(前期比4・4%増)、営業利益22億7000万円(同1・9%増)と増収増益を予想。達成すれば5期連続で過去最高業績を更新する。

「当社のお客様は医療機関で、その中には医師や看護師、専門技師など様々な医療従事者の方がいらっしゃいます。医療機器や器材がないと医療も介護も成立しないため、当社は社会的なインフラとして医療・介護の現場を支えています。そのためには人と人の関係性が大事です。社員が医療従事者に対し色々な情報を提供して信頼を得ることで、ひとつひとつの医療機関と長くお取引をさせていただいています」(同氏)

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