世界で流通「UV161」
国外売上比率50%を目指す
同社は1947年に独立系の印刷インキメーカーとして創業。現在、印刷インキを主軸に、機能性樹脂、精密分散品などの製造・販売や印刷機・印刷関連資機材の販売を手掛けている。
2022年3月期の連結売上高は前期比5・3%増の444億56百万円、営業利益は、同14・8%増の2億28百万円。インキの原材料や物流コストの上昇の影響はあったものの、販売価格の改定、高付加価値なUVインキや硬化剤製品の販売が堅調で、増収増益となった。
商品別の売上高構成比は、UVインキ46・7%、平板インキ18・1%、その他インキ15・2%、商品12・1%、その他7・9%。売上の約半分はUVインキだ。
UVインキとは、印刷後にUV(紫外線)を照射することで瞬時に硬化するインキだ。もともと米国で発明されたが、同社は日本で1977年から扱うパイオニア的存在。現在、国内シェアのトップ企業となっている。
「インキメーカーとしては後発なため、他社がやらないことをやろうと始めたようです。スタンダードになったのはバブル前です。銀行さんが帳票類への印字を高温のローラーで定着させる方式に変えたのですが、一般のインキで印刷すると熱でインキが溶けてしまう。そこでUVインキが採用されるようになりました」(増田至克社長)
UVインキは瞬時に硬化するため、一般インキでは半日程度を要するインキの乾燥待ちの時間が不要となり、印刷から印刷物の出荷までの時間を大幅に短縮することが可能だ。また強い硬化皮膜が形成されることで様々な耐性が高く、浸透して乾くインキではないため、液体・気体以外のほとんどのものに印刷できる。一般インキより高価だが、食品などの包装容器の紙器、粘着シールなどのラベル、プラスチック、金券など、様々な用途で需要が伸びている。特に81年から販売している「UV161シリーズ」は世界で流通。アジア地域では、UVインキの代名詞になっているという。
また同社は69年の香港への支店開設を皮切りに、海外にも早くから進出。現在、韓国、中国、バングラデシュ、サウジアラビア、米国など8カ国に拠点を有し、売上高の海外比率は35%を占めている。
「印刷産業の伸び率はGDPに比例します。中国を始め、アジアは人口が多い地域がたくさんあり、今後も経済成長が見込まれる魅力的な市場です。ゆくゆくは、国内・海外の売上高比率を50対50にしていきたいです」(同氏)
印刷には地域特性があり、国によって求められるものが違う。オランダや香港の拠点を清算する一方、中国の新子会社稼働など、海外事業の拡大戦略の再構築を進め、社会への貢献を実感できる成長を目指しているという。
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