22年3月期赤字幅は縮小
売上高は258億2900万円
最初に同社の22年3月期業績を確認しておこう。売上高258億2900万円、営業損益8億3300万円、経常損益8億4500万円、純損益11億2200万円で着地。コロナの影響により赤字だったが、21年度と比べて赤字幅は縮小した。
同社は「チケッティング」「コンテンツ」「ソリューション」「ホール・劇場」「メディア・プロモーション」の5つの事業を柱として、集客エンタテインメント業界の川上から川下まで一気通貫するビジネスを展開するバリューチェーンの確立を目指している。
主軸となる「チケッティング」は、ECサイト『チケットぴあ』や多数のASPサイト(※1)を通じて約1750万人の「ぴあ会員」にチケット販売を行う。「コンテンツ」は興業の主催・出資・企画・制作・運営など。「ソリューション」は興行主催者やホール・劇場などへのチケット販売システムの提供と、蓄積されたエンタメ領域のデータを活用したプロモーションや顧客管理戦略の立案などを行う。「ホール・劇場」は『ぴあアリーナMM』や『豊洲PIT』『仙台PIT』を管理・運営する。「メディア・プロモーション」はお笑いタレント・厚切りジェイソン著『ジェイソン流お金の増やし方』が電子書籍を含め60万部を売り上げ、オリコンをはじめ主要書籍年間ランキング3冠を達成。『ぴあ(アプリ)』や『ウレぴあ総研(webメディア)』などの各種媒体を活用した事業も展開している。
「90年代に入るとDX化に向け、インターネットでのチケット販売を本格化していきました。紙からオンラインへと変換した“情報流通業”というビジネスモデルに転換させました」(小林覚取締役)
「チケッティング」事業の収益構造は二つ。前者は、イベントのチケットを販売することで興行元からチケット1枚単位の販売手数料を得る仕組みだ。ほぼ一律でチケット購入者が負担する220円のシステム利用料もあり、この収入からコンビニへの販売手数料などが支払われる。さらに 、通常予約に先立つ予約にかかる先行予約チャージがある。興行元と同社で分け合うが、配分の割合は案件によって異なる。後者は、販売方法からプロモーション、席割の決定、配券など、イベントのチケット販売業務を一括して引き受けるスキーム。受託案件に対する報酬を興行元から得る。「こちらはJリーグ、大相撲、ラグビーW杯、オリンピック・パラリンピックなどが該当します」(同氏)
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