鍛造技術強みに事業多角化
燕市とタイに製造拠点置く
遠藤製作所のセグメントは、売上の48%を占めるゴルフ事業、同44%の鍛造事業、同7%のメタルスリーブ事業で構成されている。
流通するゴルフクラブには、鍛造と鋳造の2種類がある。そのうち、アイアンにおいて主に中・上級者向きとされる鍛造ヘッドの割合は10~20%。同社はアイアン鍛造ヘッドのうち国内8割のシェアを獲得している(鋳造を含めたアイアン全体では2割のシェア)。競合は台湾・中国のメーカー10社ほどだ。主力のゴルフ事業には、新事業である医療機器・航空機器部品の製造も含まれる。医療機器はチタン製の大腿骨用人工関節を製造しており、新たに膝用の人工関節の製造技術開発にも着手している。航空機はエンジンブレードを製造している。いずれも次の柱として力を注いでおり、23年度は投資を本格化する。
鍛造事業ではエンジン部品のコンロッド(※1)やミッションギアなどの製造を行なっている。売上高64億円の構成比は、自動車70%、農機具18%、二輪11 %。世界の自動車産業が集積するタイに製造拠点を設置しており、日系メーカーを中心に米国メーカーにも採用されている。
メタルスリーブ事業は、独自開発した薄肉加工技術をベースにしている。10m(0・01mm)の継ぎ目がなく柔らかな超薄肉パイプやリングをスピニング加工(※2)により製造。日本や欧米で特許を取得しており、国内OA機器用金属製シームレスパイプでトップシェアを獲得している。
2022年12月期の業績は、売上高が前期比15・8%増の145億8200万円。営業利益は同0・7%増の18億5100万円で着地した。セグメント別売上高では、ゴルフ事業が前期比16・6%増、鍛造が同18・6%増、メタルスリーブが同2・7%減。コロナ禍以降活況となっているゴルフ市場と、タイで堅調に推移する自動車関連市場により、追い風を受けたかたちだ。
(※1)エンジンのピストン運動によって生まれたパワーをクランクに伝える部品
(※2)板材を回転させながら工具を当てる加工法
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