産業機器メーカー商社 リックス 【7525・プライム市場】

鉄鋼や自動車などの大手に機械・生産財を供給
現場の困りごと解決に向け、メーカー機能拡充

「世界中のものづくりの課題解決屋」を目指すリックスは、製造業の生産現場向けに、機械装置や計測機器、消耗品などの生産財を提供するメーカー商社だ。顧客は鉄鋼・自動車・半導体を中心とした産業界大手企業がメインであり、各業界のものづくりのトップメーカーとの取引がある。多様な業界との取引を可能にしている同社のユニークな特徴は、取引先の最終製品に使われる部品ではなく、製造の各工程で使われる産業機器や消耗品の提供に特化している点だ。2024年3月期には、売上高・営業利益ともに過去最高を更新した。
リックス-安井 卓

安井 卓(やすい たかし)

社長

1978年生まれ、佐賀県出身。福岡大学工学部化学工学科(現化学システム工学科)卒、九州大学大学院総合理工学府物質理工学専攻修了。2003年古河電気工業に入社。06年リックスに入社。13年事業開発本部事業企画部長、14年取締役に就任。取締役企画本部長兼海外子会社管理部長、取締役営業本部副本部長を経て、19年代表取締役社長に就任(現任)。

鉄鋼・自動車・半導体中心に
産業機器や生産財を提供

福岡市に本社を置くリックスは、メーカー機能を内包する機械・生産財の専門商社だ。顧客は「鉄鋼」「自動車」「電子・半導体」「ゴム・タイヤ」「工作機械」「高機能材」「環境」「紙パルプ」など。各産業界の大手が中心で、取引先は約2900社にのぼる。同社では国内37拠点、海外は北米・中国・アジア・欧州など7カ国12拠点に展開している。

さまざまな製造業の生産現場に提供しているのは、流体応用機器や精密自動・計測機器、製鋼副資材などの生産財だ。2024年3月期における産業別の売上内訳は、鉄鋼が28・1%、自動車が同20・9%、電子・半導体が同13・5%と、3事業が大部分を占める。顧客の最終製品に使われるものではなく、生産・製造設備に関わる製品・副資材に絞って幅広い業界に対応している独特のビジネスモデルだ。

「当社には販売商社、メーカー、研究開発、サービスの4機能があります。製造現場における『お困りごと』の解決のため、当初は商社として製品を提供してきました。『課題を解決する製品が世の中にないのであれば自社で製造しよう』という精神で、約50年前からはメーカー機能も持つようになりました」(安井卓社長)

「メーカー商社」を掲げている同社では、流体制御技術を応用し、ロータリージョイント、洗浄装置、オイルスキマーなどを自社で製造している。

ロータリージョイントは、例えば飲料メーカーでのペットボトルへの飲料充填で採用されており、固定体から回転体に液体を漏らさずに供給するための製品。鉄鋼・電子・半導体など、さまざまな業界で活用されている。中でも、リックスの工作機械業界向けロータリージョイントは国内シェア70%以上。工作機械は世界でも日本企業のシェアが高いため、同製品向けロータリージョイントは世界でもトップクラスのシェアを持つ。

同社ではメーカーとして顧客の困りごとを解決しようと技術開発を進めた結果、52件もの特許を持つに至っている(24年7月時点で特許切れしていないもののみ)。メーカー商社としての売上比率は、商社機能が8割、メーカー機能が2割。利益面では比率が7:3となり、メーカー機能は利益貢献度が高い事業となっている。

24年3月期の業績は、売上高が前期比10%増の497億5200万円、営業利益は同6・6%増の35億4400万円。3年連続の増収増益、かつ過去最高業績を更新して着地した。売上比率の高い「鉄鋼」「自動車」が前期比約12・5%の伸長で業績を牽引。円安がプラスに影響したことに加え、物価高に伴う価格転嫁で利益面も伸長した。

「時代の流れを捉えることができたことが大きかった。社会課題解決という観点から、鉄鋼では脱炭素、自動車ではEV化の動きが加速しています。最先端の事例を社内で共有し、先回りしてお客様に提案してきたことでお客様ごとの単価が上がり、近年の業績向上に繋がっています」(同氏)

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