顧客は重工業のトップ企業
半導体が収益30%以上
シンフォニア テクノロジーは、半導体から航空宇宙、インフラ、FA機器や次世代自動車分野など、多彩な事業領域で産業界にテクノロジーソリューションを提供している。同社では「技術オリエンテッド」を掲げており、参入障壁の高い市場でトップシェア製品を多数保有。顧客には世界の半導体製造装置メーカーや国内を代表する重工業企業が名を連ねる。同社のコア技術は、高速・高精度な「モーター技術」、高効率な電力供給を行う「パワーエレクトロニクス技術」、苛酷環境下であってもモーターや発電機などの回転機を正確に動かし止める「制御技術」だ。3つのコア技術を昇華させて事業領域を拡大し続け、現在は12の事業と複数の新事業を展開している。
幅広い領域にまたがる同社の事業は「安定基盤となる事業」「顧客満足度を向上させる事業」「成長を牽引する事業」の3つに大別される。
「安定基盤となる事業」は、売上比率36%の「モーション機器」と同23%の「パワーエレクトロニクス機器」で構成され、両セグメントを合算した売上比率は59%だ。モーション機器は、航空機用電源システムや宇宙ロケットの電装品、産業ロボットやFA機器の基幹部品、鉄道車両の車両用ブレーキなどに活用されている。パワーエレクトロニクス機器は、上下水道監視制御システムや道路・トンネルなどの交通管理用電気設備といった社会インフラ、次世代自動車の電装品や試験装置、液化天然ガス搬送用のサブマージドモーター、食品・化学・製鉄などの製造工程で使われる振動機器などがある。
「顧客満足度を向上させる事業」には製品の設置・アフターサービスを行う「エンジニアリング&サービス」が該当し、売上高の20%を占める。
「成長を牽引する事業」は、売上高の21%を占める半導体の「クリーン搬送システム」だ。半導体の製造現場では「前工程」(※1)において、製造工程ごとに異なる装置を使用している。そのため、それぞれの装置間で半導体材料となるシリコンウェーハの搬送・移載が必要になるが、半導体の製造では細かな埃やわずかな振動、搬送誤差が品質に大きく影響する。同社ではコア技術から派生した「正確に動かす・止める」「気流を起こさずに動かす・止める」「早く動かす」といった搬送技術により、半導体製造装置間でのウェーハの搬送・移載を行うロードポートや基盤自動搬送装置(EFEM)を開発・提供。ロードポートは、世界トップシェアを誇っている。また製造装置内部の真空下でウェーハのハンドリングを担う真空プラットフォームや真空ロボット、製造装置の駆動を司るダイレクトドライブモーターなど、多様な技術・製品で半導体製造を支えている。
同社の23年度の売上高は1026億5700万円、営業利益は100億1100万円で、過去最高業績を更新した22年度に次ぐ業績となった。同社では近年、営業利益率15~20%超のクリーン搬送システムが収益面を支えている。23年度は半導体市場が失速していたものの、同セグメントが全体の営業利益の3分の1にあたる33億円の営業利益を計上。過去最高業績を更新した22年度においては、同セグメントにて全体の営業利益の54%にあたる63億円を計上した。24年度も過去最高売上高の更新を見通している。
※1/前工程 デバイスの材料となるシリコンウェーハに回路パターンを作成する工程のこと。
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