農業総合研究所 【3541・グロース市場】

都市のスーパーに産直品を届ける
「農家の直売所」全国1600店舗に拡大

農業総合研究所(3541)は、スーパーマーケット内の産直コーナー「農家の直売所」などを展開する農業ベンチャーだ。創業者の及川智正氏が2007年、資本金50万円で設立。ゼロからのスタートながら地道な積み重ねで販路を拡大し、20年8月期には売上高32億円、流通総額105億円を達成する見込みだ。コロナ禍によるステイホームで消費者のスーパー利用が増えており、この流れを追い風に更なる成長を目指している。
農業総合研究所 -及川 智正

及川 智正(おいかわ ともまさ)

会長

1975年埼玉県生まれ。97年東京農業大学を卒業し巴商会に入社。2003年、妻の実家のある和歌山県で新規就農し、3年後にエフ・アグリシステムに入社。07年農業総合研究所を起業し代表取締役社長に就任。16年農業ベンチャー初の東証マザーズ上場を果たす。19年代表取締役会長に就任(現任)。

生産と販売の2つが交わる
「流通」を変える

農業総合研究所は、「日本の農業を変える」ことを使命に及川氏が設立した会社だ。東京農大を卒業後、一度は専門商社に就職するが、やはり農業をやりたいと退職して妻の実家が営む和歌山県のキュウリ農家に就農。3年間農業に従事した後、次に大阪で産直八百屋を立ち上げ販売に携わった。その経験から生産と販売の2つが交わるところの「流通」を変えようと、和歌山に戻り同社を立ち上げた。

現在同社は、産地の農家と都会のスーパーマーケットを直接つなぐ流通プラットフォーム「農家の直売所」などを展開している。このビジネスモデルは、全国の集荷場に農家から直接持ち込まれる農産物を、原則翌日に提携スーパーの「農家の直売所」コーナーで販売する流通事業だ。

この流通は、既存の市場流通と道の駅などの直売流通の中間となるシステムだ。市場流通において農家は農協(JA)に出荷するので大量生産、大量販売できるというメリットがあるが収益性が低い。一方、直売流通では卸を通さないので農家の手取りは高いが販売量が限られるという問題点がある。

「この2つの流通の中間に位置し、両者の〝いいとこ取り〟をしたのが『農家の直売所』の流通システムです。例えば100円で売られている商品を農協さんに出荷すると農家の手取りは30円ですが、当社に出すと60円の手取りがあります。しかも都会のスーパーに毎日出荷できるのである程度の量が売れます。このメリットが口コミで広がり、登録生産者数は全国で約9000人、導入する小売店は約1600店舗に拡大しています」(及川智正会長)

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