化学・環境装置メーカー 三菱化工機 【6331・プライム市場】

過去の栄光を超え、2035年に売上倍へ
組織体制の改革・新事業の育成に注力

プラント建設・水素装置製造などを行う三菱化工機が、大胆な構造改革に乗り出している。ここ20年は売上高が400億~500億円台と横ばいが続いた。こうした状況を打破すべく、近年は組織再編に注力。また水素や脱炭素に関連する新規事業の育成にも力を入れる。創立100周年となる2035年に売上高1000億円、うち半分超は新規事業で稼ぐ計画だ。
三菱化工機-田中 利一

田中 利一(たなか としかず)

社長

1959年4月生まれ、栃木県出身。85年早稲田大学商学部卒業後、三菱化工機入社。2015年執行役員、16年取締役。21年取締役社長(現任)。

過去の栄光と風習が足枷に
抜本的組織改革で効率化図る

同社は1935年に創立。当初は化学業界向けの製品製造が主業だったが、70~80年代に公害が深刻化すると、環境保全機械の製造を開始した。米企業から技術導入した「排煙脱硫装置」は、工場から排出されるガスから硫黄酸化物を除去できると注文が殺到。同製品が成長を牽引し、従業員数は2000人台に達するなど隆盛を極めた。

ところが、同製品の需要が減少するに連れ、同社の規模も縮小。以来、売上高400億~500億円規模の時代が今日まで続いている。

「当時は大気汚染防止企業として注目を集める企業だった。しかし、需要のピークを過ぎると拡大した設備や人員が足枷になってしまって…。その後は人員削減・事業規模縮小など、厳しい時代が続きました」(田中利一社長)

また一方で、社内には和やかな雰囲気が故に厳しさが足りず、目標未達・赤字着地に終わることがあった。

そこで、田中氏が2021年に社長就任した頃から推し進めているのが、組織体制の改革だ。そのひとつが、営業統括本部の設置。これまで同社は、事業別となるプラント、環境・水素・エネルギー、単体機械それぞれに営業部があり、連携がなかった。そこで営業統括本部を設置し、事業横断的な受注管理・調整する体制を整えた。

「当社は入社時に配属先が決まると、退社までずっとその部署にいる風習がありました。すると、そこで人間関係が完結してしまい、部署間の交流がほぼありません。しかし、我々が将来目指す姿は、循環型社会やクリーンエネルギーなど、各事業の強みを組み合わせて新たな価値を創造していくこと。『プラントの営業』『機器の設計』ではなく、皆でトータルに活動しなければならない」(同氏)

また、21年には本社事務所を川崎工場から川崎駅前のオフィスビルに移転。社外とも触れ合う機会を増やした。

「当社の主力事業は、数十年間ほぼ変化がなかった。その一因は、社員の挑戦を促す仕組みがなかったからです。組織の中に収まり『井の中の蛙』になるのではなく、社員一人一人が外向的な視点を持つことで、組織全体の効率が向上すると考えます」(同氏)

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