顧客に密着した営業体制と
高度な技術、ノウハウが強み
アサヒホールディングスは、貴金属事業(貴金属リサイクル・貴金属精錬)と環境保全事業の2つのセグメントを展開している。2021年3月期の売上収益は1647億7600万円であり、売上比率は貴金属事業が87・9%、環境保全事業が12・1%を占めている。
貴金属事業のベースとなっているのが、祖業の写真感材事業から発展した貴金属リサイクル事業だ。
顧客(回収先)は、エレクトロニクス分野、デンタル分野、宝飾分野、触媒分野など多岐にわたる。エレクトロニクス分野では、電子基板や端材を回収し、粉砕・選別などのプロセスを経て貴金属リサイクルを行っている。デンタル分野では、歯の治療に使われるクラウンやインレーなどの補綴(ほてつ)物を歯科医院などから回収してリサイクルを行っている。
強みの1つは正社員による顧客に密着した営業体制だ。同社正社員が直接、原材料の回収先である顧客を訪問し直接回収している。
2つめの強みは高度な技術とノウハウの蓄積にある。幅広い分野から回収される原材料を最適な方法で効率的に回収しリサイクルする技術を確立。デンタル分野ではシェア約7割弱、他の事業分野でも4割近くのトップシェアを獲得している(シェアはアサヒホールディングス調べ)。
また近年は、IT活用に注力。デンタル分野では、歯科医院などの顧客からリサイクル原料として提供される貴金属を電子通帳上で預かり、預けた顧客はパソコンやスマートフォンで残高を確認しながら任意のタイミングで売却決済できる『アサヒメタルアカウントシステム』という独自システムを運用している。
「かつて歯科分野では、金だけを目利きで算定してその場で現金で買い取る取引が主流でした。しかし、当社は歯科用合金に含まれている銀やパラジウム、プラチナにも着目しました。最新装置を用いた正確な分析と貴金属相場を基準とする透明性の高い取引方法を導入したことで高く評価され、ここから事業の多角化を進めました」(東浦知哉社長)
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