地元に根を張った下請け企業
スズキ・ヤマハ発の部品を生産
ASTIの2024年3月期決算は、売上高が前期比2・0%減の636億700万円、営業利益は同18・0%増の22億3400万円。売上高をセグメント別に見ると、車載電装品事業が34・2%、民生産業機器事業が27・6%、ワイヤーハーネス事業が38・0%となる。3セグメントで共通するのが、いずれも電子製品の部品を作る下請け業という点だ。
車載電装品事業では、二輪や四輪の電子制御基板、エアコンパネル、カーラジオなど多様な部品を製造する。一方民生産業機器事業は、洗濯機用の電子制御基板や食洗器用操作パネル、産業用ロボットなどを展開。そしてワイヤーハーネス事業では、二輪・四輪・船外機用にワイヤーハーネスと関連製品を生産する。
売上比率で半分弱を占める主要顧客が、同じ静岡企業であるスズキとヤマハ発動機。他にもホンダやトヨタ系列、パナソニックなど様々な会社に供給している。
「元々当社は、浜松のお寺の三男だった創業者が、戦後に夫を亡くし子供を抱える母親の仕事を作るために、お寺の空き地に小屋を建て、そこでヤマハのピアノ部品を作る、ということからスタートしています。社会の変化に応じて生産品目は変わっていますが、現在の主力は、二輪用の車載電装品とワイヤーハーネスです」(波多野淳彦社長)
国内の四輪向けワイヤーハーネスは、矢崎総業、住友電気工業、古河電気工業、フジクラの大手4社でほぼ独占している。一方二輪向けワイヤーハーネスは、生産数も利幅も少ないため、大手にはそこまで魅力的な市場ではない。しかしASTIにとっては、競合が少ないために、収益力が大きい市場となる。
「民生用ワイヤーハーネスは価格が低いので、競争は激しい。それに比べて車載は民生よりも品質が高く、参入障壁は割と高い。その中で、大手がやらないところを当社がやる、という形で自然と棲み分けている」(同氏)
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