治験のフェーズⅡとⅢに特化
専門性磨きブランド化図る
リニカルは2005年、旧藤沢薬品工業(現アステラス製薬)で医薬品開発の経験を有するメンバーが中心となり、大阪発理想の医薬品開発受託(CRO)事業を目的として設立された。
CRO事業とは、製薬会社が手掛ける新薬開発の段階のうち、臨床試験(治験)業務の一部を受託する事業だ。医薬品開発には、基礎研究、非臨床試験、治験、申請・承認・販売の段階がある。同社は「事業特化型CRO」として、治験の主な段階であるフェーズⅡとⅢに特化。また、治験の主要業務であるモニタリング業務に特化して受託し、製薬会社の新薬開発の効率化を支援している。
「フェーズⅡとⅢは実際に患者さんに投与して性能を確かめる試験であり、何の患者さんにどんな容量で使うのか、どんなデータを取るのかなどの詳細な計画を立てて手順を監視し、データ収集を行います。既存薬と比較して効果があるかなどを検証するので、膨大な時間とコストが掛かる。製薬会社にとっては大きな負担となるため、多くの企業は治験業務をアウトソースして効率化を図っています。当社は経験とノウハウを積み重ねているので、約6割の案件を前倒ししており、製薬会社にとっては1日も早い承認申請が可能です」(秦野和浩社長)
またリニカルは、新薬の領域をがん、中枢、免疫の3領域に特化している。この3領域は難易度が高いこと、高齢社会に向けて製薬会社が投資を増やしていることなどから成長性の高いマーケットとされる。同社はこの領域で専門性を磨きブランド化を図り、これまでに50社以上からの受注を獲得、約300以上の試験を受託している。
「創業して1~2年目に中枢領域のパーキンソン病の新薬開発と、免疫両機の関節リウマチの新薬開発の治験案件を受託できたので、『これで間違いなく上場できるぞ』と思いました。一方、抗がん剤は苦労しましたが、国内でも研究者が次々と抗がん剤開発を手掛けるようになったので、その波に乗って東証1部上場を達成しました」(同氏)
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