独立系情報サービス アイネット 【9600・プライム市場】

自社保有のデータセンター強みに 25年3月期売上高400億円へ

 アイネットは創業51年を迎える独立系情報サービス企業だ。1971年にガソリンスタンド向け決済受託事業からスタート。現在はエネルギー産業や金融、官公庁、宇宙関連企業を顧客に持つなど業域を拡大してきた。システム開発サービスを展開する一方、データセンターを2台所有し、顧客データの情報処理サービスも行う。23年6月に就任した新社長の下で、新たな成長戦略を描いている。
アイネット-佐伯 友道

佐伯 友道(さえき ともみち)

社長

1962年12月生まれ、神奈川県出身。84年フジコンサルト(現アイネット)入社。2010年同社取締役。13年アイネット・データサービス代表取締役社長。15年アイネット常務取締役やアイネット・データサービス取締役会長などを経て23年6月アイネット代表取締役兼社長執行役員(現任)。

「システム開発」「情報処理」主軸
顧客数は約4300社

同社は約4300社の企業を顧客に、「システム開発サービス」「情報処理サービス」「システム機器販売」の3つのサービスを提供している。

売上高の56%を占めるのが「システム開発サービス」で、受託開発請負とシステム商品開発が柱となっている。

受託開発請負ではエネルギー産業、金融、交通システム、宇宙関連など多様な顧客を対象にサービスを展開。またシステム商品開発では、無担保ローン向け「LOAN RANGER」や原価管理向け「ABC Calc」など、多数の中小、大手金融機関に使用されている。

売上の41%を占める「情報処理サービス」では、データセンターを活用した法人顧客向けクラウドサービス、受託計算サービス、メーリングサービスを展開する。

法人顧客向けサービスは、データセンター上で自社のサービスに加えて他企業のツールやコンテンツを展開してもらい、顧客に利用販売してもらう。ネオジャパン(3921)やユニリタ(3800)など多様な企業と協業しており、非常に伸びている分野の一つだ。受託計算サービスでは、全国シェア3割強のガソリンスタンド(SS)向け販売・決済プラットフォームなどを運営。郵便物の印刷・配送代行は顧客のデータをもとに印刷から発送まで自動で行い、月間約500万通以上を郵送している。ワクチン接種券などの公共サービス増加に加え、全国的に同様のサービス業者が減っており、同社に仕事が集中している。

同社はシステム開発事業を展開しながらも、データセンターを2台保有している。自社で保有することで業績の基盤を支え、他社と異なるビジネスが展開可能になるという強みがある。

「顧客からのデータを預かることができれば、メーリングサービスなどBPO(業務プロセスの外部委託)やシステム開発にもつながる。また自前のセンターなので他社より柔軟な料金ということもあり、当社は複数のサービスを使う顧客がとても多いのです」(佐伯友道社長)

24年3月期1Q業績は売上高が91億8400万円(前年同期比16・2%増)、営業利益は6億5700万円(同103・4%増)の大幅増収増益で着地。低成長だったメーリングサービスの復調などにより四半期過去最高の売り上げを達成した。

通期業績は売上高が377億円(前期比7・7%増)、営業利益は27億5000万円(同29・2%増)を予想。全項目での過去最高業績更新を見込んでいる。

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