世界125以上の国と地域で事業展開するグローバルヘルスケア企業 PHCホールディングス 【6523・プライム市場】

臨床検査から創薬支援までM&Aで事業拡大
病理DXを推進、診断・ライフサイエンス主力へ再編

PHCホールディングスは、診断、医療機器、ヘルスケアIT、ライフサイエンス分野で各種製品やサービスの開発・製造・販売を行う大手ヘルスケア企業。2014年にパナソニックグループから独立し、その後は積極的なM&Aで売上拡大を図り、21年にIPOを果たした。現在はグループ内の事業構造の再編を推進。その舵取りを任されたのが、24年4月に新社長に就任した出口恭子氏だ。グループが目指す今後の姿や展望について聞いた。
PHCホールディングス-出口 恭子

出口 恭子(でぐち きょうこ)

代表取締役社長CEO

1965年12月生まれ、神奈川県出身。89年東京大学法学部卒業、ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン・インコーポレイテッド入社。99年ディズニー・ストア・ジャパン シニアファイナンスディレクター。2001年日本GEプラスチックス取締役CFO。04年米Janssen Pharmaceuticaプロダクト・ディレクター。05年豪Janssen-Cilag Pty Ltd. 消化器領域・疼痛・OTC事業部門本部長。12年日本ストライカー代表取締役社長。20年Heartseed社外取締役就任(現任)。21年PHCホールディングス社外取締役。22年どうやリハビリ整形外科副院長。24年PHCホールディングス代表取締役社長CEO(現任)。

医療分野で3つの事業ドメイン展開
減収減益で中期経営計画の見直し発表

PHCグループの事業ドメインは「糖尿病マネジメント」「ヘルスケアソリューション」「診断・ライフサイエンス」の3つだ。

「糖尿病マネジメント」の主力製品は、糖尿病患者が自身で血糖値を測定できる血糖値測定システム(BGM)と、業界初の皮下埋め込み型の持続血糖測定システム(CGM)。同社は1981年に業界初の個人向けBGMを上市し、今では世界中で1000万人以上の人が利用する。現在はCGMを成長事業と位置付け販売を強化している。


▲持続血統測定システム(CGM)

▲︎血糖値測定システム(BGM)

 
「ヘルスケアソリューション」では3事業を展開。1つ目は検査機関や医療機関から臨床検査を受託する「LSIM事業」。全国に拠点を構え、癌診断や遺伝子検査など4000種以上の検査項目をカバーする。2つ目は「ヘルスケアITソリューション事業」。診療所や病院、薬局向けにレセプトや電子カルテ、電子薬歴などのシステムを提供。診療所向け電子カルテシステムは業界トップのシェアを持つ。3つ目は「CRO事業」。創薬の基礎研究から臨床試験まで、幅広い領域で研究開発支援サービスを展開する。

「診断・ライフサイエンス」も3事業で構成。1つ目は癌診断における病理診断用機器や消耗品の提供を行う「病理事業」。2つ目は医薬品などの保存に使用する超低温フリーザーや細胞培養用のCO2インキュベーターなどが世界でも高いシェアを持つ「バイオメディカ事業」。3つ目は体外診断薬や医薬品注入器などを提供する「診断薬(IVD)事業」だ。

2024年3月期の連結業績は、売上収益3539億円(前期比0・7%減)、営業利益15億6600円(同92・2%減)と減収減益で着地。売上収益構成比は「糖尿病マネジメント」が約29%、「ヘルスケアソリューション」が約34%、「診断・ライフサイエンス」が約37%。

BGM事業の欧州での市場縮小や、ヘルスケアソリューションのPCR検査件数の減少、バイオメディカ事業の特需縮小などの外的要因に加え、成長領域と位置付けるCGM事業や病理事業の拡大が想定を下回った。そのため26年3月期を最終年度とする現在の中期経営計画の見直しを行うことを発表した。

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