防災設備を製造・設置・点検
技術力活かし環境配慮製品を開発
能美防災は、日本で初めて自動火災報知設備を製造・販売したパイオニアであり、100年以上の歴史を持つ。自動火災報知設備の業界シェアはおおよそ3割。火災報知設備や消火設備などの総合防災機器メーカーの最大手である。国内73カ所、海外に5カ所(支社・営業所・グループ会社)の拠点を持つ。単体社員約2100人のうち、およそ1200人が、国家資格である消防設備士の資格を保持している。
消防法によって、建物や施設には防災設備を設置するよう定められている。同社は住宅からビル、プラント・工場、道路トンネル、データセンター、球場、文化財など幅広い分野を対象に、火災報知設備や消火設備などを展開。横浜ランドマークタワーやみずほPayPayドーム福岡、東大寺や全国の城郭などの設備も同社のものだ。
また、消防法に基づく設備のみならず、工場などの火災リスクの高いエリアには、顧客のニーズや課題解決に応えられるサービスを提案。研究開発から設置、メンテナンスまでの一貫体制の下、最新・最適な防災システムを提供している。
2024年3月期は売上高1185億600万円(前期比12・3%増)と過去最高となった。建設業界が活況なうえ、工場などの設備投資が進んでいることから、受注高、受注残高が2期連続で過去最高を更新した。建設が進むデータセンターや半導体工場向けには、超高感度煙監視システムの販売を注力。また、用途に応じて地球環境にやさしい窒素ガス消火設備の販売も促進している。
「当社は研究開発から設計、製造、販売、施工、保守点検、改修工事まで一貫した責任体制で取り組んでいることを誇りとしています。消防法で定められた設備を設置するだけでなく、長年研究してきたノウハウや蓄積してきたデータを元に、お客様のニーズに合ったソリューションを幅広く提案できることが強みです」(岡村武士社長)
同社の特長のひとつとして、技術力の高さが挙げられる。例えば24年2月には、環境に配慮した泡消火薬剤を開発した。長年蓄積した泡消火技術を駆使し、成分の全面的見直しを実施。人体などへの悪影響が懸念されているPFAS(有機フッ素化合物、自然界では分解しないため人体などへの悪影響が懸念されている物質)不使用でありながら、高温・高煙濃度の火災環境下で高い発泡性能と消火性能を実現した(下図参照)。
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