超硬耐摩耗工具・金型でシェア30%以上 冨士ダイス 【6167・プライム市場】

素材の調製から成型、焼結・加工まで受注生産
生産効率化で売上高200億円、営業利益20億円へ

冨士ダイスは、車・航空機などの部品やスマホ、カメラなどのレンズなどさまざまな工業製品のパーツを成型するための超硬合金製の耐摩耗工具・金型の製造・販売を行っている。2024年3月期の連結売上高は前期比2・9%減の166億7800万円、連結営業利益は同29・7%減の8億900万円。今年5月に発表した「中期経営計画2026」では「変化に対応できる企業体質への転換」を掲げ、改革に乗り出す。27年3月期に連結売上高200億円、営業利益20億円と大幅な利益率向上を目指す。
冨士ダイス-春田 善和

春田 善和(はるた よしかず)

社長

1963年11月生まれ、神奈川県出身。87年、慶応大学文学部を卒業後、冨士ダイスに入社。2015年に取締役、18年に常務取締役、23年に専務取締役を経て、24年1月1日付で取締役社長に就任(現任)。

粉末冶金・超精密加工が強み
長年に渡るニッチトップ

超硬合金とは、鉄系金属にレアメタルなど硬質の金属炭化物などを配合して作られており、ステンレスや鋼鉄をしのぐ硬さを持つ。超硬合金を使った工具・金型は耐摩耗性に優れ長寿命で、金属やガラスなど様々な素材を高精度に成型することができる。同社は1949年の創業以来、この超硬合金を中心とした工具・金型の製造に取り組んでいる。時代のニーズに応える製品を顧客に提供し、黒字経営で業績を拡大してきた。

2022年度の超硬工具の国内市場規模は4920億円だが、うち9割以上が切削工具で、耐摩耗工具は全体の7・3%。同社はこのニッチ市場で長年30%以上のトップシェアをとっており、年間120億円を売り上げる。切削工具と違って大手の競合は存在せず、国内では同社がほぼ一強だという。

「当社の製品はすべてカスタムメイドです。どんな分野の依頼でもほぼ対応できますので、他社の案件が『やはりできなかった』と当社に回ってくることもあります。例えば『こういう商品を金型を使って作りたい』とお客様が基本の設計図を作ってこられる。それを基に当社の営業・技術担当者が製法や素材を一緒に考え、価格などすり合わせします。使用する際の温度環境、酸の有無、磁場に対する適性など、加工する素材の特性を考慮して原料粉末を調製するため、材料は約100種類ラインナップし、常時70種類ほどを使っています」(春田善和社長)

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