ステップ 【9795・プライム市場】

神奈川県特化の学習塾展開
業界高水準の営業利益率26・9%

ステップは1979年設立以来、一貫して神奈川県内に特化し、小中学生を中心とした学習塾を展開している。「いい授業が最大の営業」とし、広告宣伝に費用をかけず、教師の育成により力を入れ、高い合格実績を積むことで生徒数を増やしてきた。2020年はコロナの影響により設立以来初の減収となったものの、22年9月期には売上高、営業利益ともに過去最高を更新する見込み。中期経営方針では人口の多いエリアに校舎数を増やす戦略で県内シェア率を高めることに注力する。
ステップ-遠藤 陽介

遠藤 陽介(えんどう ようすけ)

社長

1972年5月生まれ、神奈川県出身。96年、東海大学教養学部卒業後、ステップ入社。2015年取締役、18年専務取締役を経て、19年代表取締役社長執行役員に就任(現任)。20年横浜川崎本部長(現任)。

教師職の9割強が正社員
質の高い授業で生徒確保

ステップの2021年9月期業績は売上高が130億3600万円、営業利益が35億900万円。同社の注目すべき点は営業利益率の高さだ。売上高業界トップクラスのベネッセホールディングス(9783)が4・7%、ナガセ(9733)が11・3%という中、同社は26・9%と高い水準にある。この要因の一つとして広告宣伝費をかけないという戦略がある。

業界の一般水準では、5~10%の広告宣伝費に対し、同社は21年9月期で1・1%と大幅にコストを抑えている。もちろん集客に力を入れていないわけではない。22年4月末現在では前期比5・3%増の3万1069人の生徒が在籍するなど着実に生徒数は増やしている。ではどのようにしてわずかな広告費で集客しているのか。

「質の高い授業をすることが一番の営業になるという考えがあります。通常、人件費を抑えるためにアルバイト採用などを行う塾が多い中、同社は718名(22年4月末現在)在籍している教師職の90%強が正社員です」(遠藤陽介社長)

ここには、授業の質の高さを担保するための戦略が組み込まれている。教師を正社員雇用することで手厚く研修などを行い、教師のプロ化を図っている。例えば新卒社員であれば二年間、新人研修を二週間に一回ほど行い、教科ごとに授業の進め方や発問の仕方など細かく指導している。また教師全員が一堂に会する地域別研修や集中研修、英語力アップに特化した英会話研修なども実施。キャリアに関係なく、教師としての腕を磨くため様々な研修制度を用意している。このような研修で授業の質を高水準で維持し、神奈川県に特化した対策を行うことで確かな合格実績をあげ、主にクチコミから毎年、生徒の数を増やしている。

「入り口は生徒が成績を伸ばしたり、ステップに楽しい授業をする先生がいると興味を持ってもらうこと。子供が親に話し、クチコミとして広がっていく横展開が一番重要だと考えています。また、最近では多くのスクールで、生徒の親もステップに通っていたりというような縦のつながりもあり、地域に根付いたサイクルが生まれています」(同氏)

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