進学個別指導塾「TOMAS」運営 リソー教育 【4714・プライム市場】

独自の「進学個別指導」で、少子化でも業績伸長
ヒューリックとの異業種連携で更なる出店を計画

進学塾といえば集団授業、個別指導塾では補習の役割を果たす、というのが学習塾業界での一般的なスタイルだ。その中で、リソー教育の運営する「TOMAS」は1対1の「進学個別指導塾」でポジションを獲得している。主に一都三県の一等地を中心に展開してきた同社だが、2020年からは都心の駅近にオフィスビルや賃貸マンションを多数持つヒューリック(3003・プライム)と資本業務提携を開始。24年5月にはTOB及び第三者割当増資により、リソー教育はヒューリックの連結子会社となった。
リソー教育-天坊 真彦

天坊 真彦(てんぼう まさひこ)

社長

1964年11月生まれ、東京都出身。90年、東京大学文学部を卒業。塾講師を経て、95年に日本教育公社(現:リソー教育)に入社。教務企画局課長、経営企画本部秘書室副部長、取締役管理企画局局長兼総合企画部部長、専務取締役を経て、15年代表取締役社長に就任。19年代表取締役副会長、2022年に代表取締役社長へ再就任(現任)。

完全1対1で高い合格実績
百人百様カリキュラム人気

リソー教育では、小・中・高校生を対象とした進学個別指導塾「TOMAS」を中心に、家庭教師派遣「名門会」、名門小学校・幼稚園受験を目指した幼児教育を行う「伸芽会」、主に私立中高一貫校を中心に学校内へ「TOMAS」を設置し、放課後学習支援等を受託する「スクールTOMAS」、スキー合宿やサッカースクールといった体験型教育プログラムで人格形成・情操教育をサポートする「プラスワン教育」など、1歳~社会人までをカバーする幅広い教育サービスを提供している。

2024年2月期の売上構成比は、「TOMAS」を中心とした学習塾事業が52・2%、家庭教師派遣教育事業15・6%、幼児教育事業17・7%、学校内個別指導事業9・1%、人格情操合宿教育事業5・3%。

一般的に、塾の売上は生徒数に比例することから、少子化は業界にとって深刻な問題だ。しかしリソー教育では、少子化の進行と逆行し、業績を拡大してきた。創業翌年の1986年における国内の6~18歳の児童数は約2500万人だったが、2024年には1300万人へと約半減している(※)。一方、同社の24年2月期の業績は、売上高が前期比2・3%増の322億1500万円と過去最高を更新。営業利益は同8・6%増の26億2800万円となった。

※厚生労働省「人口動態総覧」年次推移より、児童(6~18歳)数推移

 
「講師と生徒が完全1対1の『進学』に特化した個別指導は、学習塾業界でも唯一無二のサービスであり、同時にこのビジネスモデルは少子化を前提としたものです。当社は主に一都三県で展開していますが、同エリアにおける小・中学校の受験比率は年々高まっています。当社では生徒一人ひとりの個性に合わせた『百人百様の合格逆算カリキュラム』によって、高い合格実績を実現してきました」(天坊真彦社長)

通常の塾では、塾社員が生徒の学習指導、目標到達の進捗管理、保護者対応や新規営業の3つの業務を担っている。一方リソー教育は、業務を主に分業している。生徒への学習指導は学生アルバイトを中心とした講師が担当。進捗管理や保護者対応は教務社員が担当し、サポートする。教務社員は保護者への学習進捗共有、生徒への声掛けや学習の相談に乗るなどのコミュニケーション、講師との指導内容や進捗の共有を狙う。同社はこの体制を「教務3原則」と表現し、保護者や生徒に加え、講師へのマネジメントを重視している。

「教務は1人あたり、50~100名の生徒とその保護者を担当しています。生徒の性格は十人十色です。学習状況や進路、個性やモチベーションなどを加味しながら、講師と連携して最適な教育カリキュラムを日々組み直し、確実に合格へと導いていく。講師・生徒・保護者との密なコミュニケーションを重ねる必要がありますので、集団授業の学習塾や学習習慣付けの意味合いが強い個別指導と比較すると教務の役割が大きく、他社が真似できないビジネスモデルと言えます。そしてそれこそが、少子化の中でも生徒が集まる仕組みとなっているのです」(同氏)

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