コメ卸や倉庫など多事業展開 ヤマタネ 【9305・プライム市場】

次の100年に向け、大型投資を複数で実行
“物流と食のシナジーで業界けん引役に昇華”

2024年に創業100周年を迎えたヤマタネは、“相場の神様”と呼ばれた山﨑種二氏が米問屋を始めたのを起源とする。長い歴史の中で挑戦を繰り返し、現在は物流、食品、情報、不動産の4つの事業領域を持つ企業グループに成長した。24年には銀行出身の河原田岩夫氏が社長に就任し、次の100年に向けたチャレンジを推進。26年3月期からの新中期経営計画では最終年度に売上高880億円、営業利益47億円、ROE6・5%以上を目標に掲げ、収益力強化に向けた施策を次々と打ち出している。
ヤマタネ-河原田 岩夫

河原田 岩夫(かわはらだ いわお)

社長

1963年12月生まれ、愛媛県出身。86年神戸大学法学部卒業、住友銀行(現三井住友銀行)入行。2019年専務執行役員、三井住友フィナンシャルグループ専務執行役員に就任。22年ヤマタネ副社長執行役員に就任。24年代表取締役社長執行役員に就任(現任)。

物流、食品、情報など4事業展開
不動産事業は好立地保有活かし高収益

ヤマタネは物流、食品、情報、不動産の4事業を展開する会社だ。2024年3月期の売上高は645億1200万円(前期比26・3%増)、営業利益34億8900万円(同2・8%減)となった。

物流事業の売上高比率は約38%。元々は米卸として創業した同社だが、1940年に辰巳倉庫を買収して倉庫業に参入した。倉庫・荷役・配送などをはじめ、国際物流のフォワーディング(荷主から貨物を預かり、輸出入の輸送を行う業務)や輸出入通関など、物流に関わるあらゆるニーズに応えている。

顧客数は約900社に上り、飲料、家電、ガス器具などの分野で大手荷主らに様々な物流サービスを提供する。取引年数の長い顧客が多く、最長で60年超の顧客もいる。東京湾の湾岸部に倉庫を有する利便性の良さも、大きな特徴だ。

食品事業では、主に米卸を行う。全農や農協などから米を購入し、西友やヤオコー、オーケーといった量販店や外食、中食業界などに提供している。取引生産地は東北地方55%、関東・東海地方25%、北陸地方17%だった。

また同事業においては2023年10月、業務用食品の卸売事業を手掛けるショクカイをグループ化した。これにより、食品事業は売上高比率約53%を占めることとなった。ショクカイは、冷凍食品を中心とした弁当給食向け業務用食品の卸売事業で、業界トップシェアを誇る。ヤマタネは、ショクカイが持つ全国の販売網などを活用して成長を図る。

情報事業は、売上高の約3%を担う。山種証券(現SMBC日興証券)のシステム部門として始まり、現在はグループ会社のヤマタネシステムソリューションズが、幅広い分野でITソリューションと運用サポートサービスを展開している。

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