自動車向けが売上の6割
大同特殊鋼傘下で調達に強み
エンジンを自動車の心臓に例えるなら、エンジンバルブは、心臓内部にある「弁」にあたる。エンジンは、吸い込んだ空気と燃料を圧縮・燃焼させて動力エネルギーに変え、燃焼後の不要なガスを排出する。エンジンバルブはその吸気口と排気口に設置されており、心臓弁のように常に開閉して空気の流入や排気ガスの排出をコントロールする役割がある。同社は自動車のエンジンバルブにおいて、国内トップの40%のシェアを獲得している。
エンジンバルブは自動車や輸送機、産業機械、農機、船舶向けに幅広く販売されているが、同社では自動車向けが圧倒的に多く、売上高比率の6割近くを占める。また海外にも生産拠点があり、海外メーカーを含めたグローバル市場では8%のシェアを獲得している。
「自動車はもとより、産機、農機など日本のほぼ全てのエンジンメーカーと取引をしています。国内の競合は2社ありますが、技術や製法により得意分野が違いますので、棲み分けができている。自動車は当社の得意分野です」(辻本敏社長)
エンジンバルブ製造はストックビジネスに近い。自動車メーカーがエンジンを新規開発する際、2~3社にバルブの開発を依頼する。その中から採用されたメーカーは、次のモデルチェンジまで4~8年発注を継続することになる。バルブの採用は、コストや製品の強みなどを鑑みて行われる流れだ。
「コストに関しては、当社には大同特殊鋼の子会社であるメリットがあります。親会社からの仕入れ、共同での材料開発ができるため、品質・コストともに優位に立ちやすい。またエンジン部品だけでなく材料までセットで提供できる点も強みです。当社製品の特徴としては、競合よりも太く安価な素材を鍛造しており、大量生産に向いているという点が挙げられます」(同氏)
2024年3月期業績は、売上高が前期比8・2%増の233億8200万円、営業利益は同87・2%増の16億2700万円で、増収増益となった。今期は売上高が過去最高を更新予定。営業利益も前期比56・8%増を見込む。
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