栄研化学 【4549・プライム市場】

大腸がんの一次検査用試薬は国内シェア67% 臨床検査分野でアジア・欧米にも展開

 創業84年の栄研化学は、病気の診断・治療・健診に用いられる臨床検査薬の総合メーカーだ。主力の便潜血検査用試薬や尿検査用試験紙など、独自技術を用いた製品は国内トップシェアを占め、アジア・欧米など海外でも幅広く展開する。2031年3月期をゴールにした「EIKEN ROAD MAP2030」では、売上高750億円、営業利益率20%以上、海外売上比率40%以上を目標に掲げる。目標達成のための戦略について納富継宣社長に聞いた。
栄研化学-納富 継宣

納富 継宣(のうとみ つぐのり)

社長

1958年生まれ、福岡県出身。81年九州大学理学部卒、同年栄研化学入社。2001年DUGユニット技術開発部長。09年研究開発統括部生物化学研究所長、執行役就任。18年取締役就任(現任)。20年研究開発統括部長兼生産統括部長。21年代表執行役社長就任(現任)。

23年3月期連結業績
売上高432億7100万円

臨床検査には、人から採取した血液や便、尿などの検体を調べる「検体検査」と、人体を直接調べる「生体検査」の大きく2つに分けられる。栄研化学では、前者の検体検査で使われる各種試薬や測定装置を製造・販売する。

2023年3月期の連結業績は、売上高432億7100万円、営業利益74億5700万円。製品セグメントは、便潜血検査用試薬、免疫血清検査用試薬、尿検査用試薬、微生物検査用試薬、遺伝子関連など8つに分類される。

主力製品は主に3つ。1つ目が、売上の約26%を占める便潜血検査用試薬。大腸がんの一次検査(スクリーニング)に用いられ、測定装置の「OCセンサーシリーズ」と専用試薬等を販売する。国内67%と圧倒的なシェアを獲得し、多くの先進国で大腸がんスクリーニングプログラムとして導入されている。

2つ目は売上の約22%を占める免疫血清検査用試薬。免疫検査分野は、検査全体のうち約80%の市場規模があり、その分売上のウエイトも大きい。そして3つ目が、売上の約9・5%の尿検査用試薬。登録商標品の尿検査用試薬紙「ウロペーパー®Ⅲ‘栄研’」は、各種疾患のスクリーニングに使われており、国内約30%のトップシェアを持つ。

取引先は、50床以上の病院や衛生検査所、臨床検査・健診センターなど。健康診断、がん検診、婦人科系検査など各種検診で幅広く採用されており、海外でも高いシェアを

誇る。

「便潜血分野は弊社の製品が世界一です。当社は、便潜血分野では検査する国々で7~8割のシェアを持っています。免疫血清分野は市場こそ大きいですが海外大手の寡占状態です。そのため、当社は便潜血のような特徴を生かした分野に注力していきたい」(納富継宣社長)

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