日本初の医薬品開発業務受託機関 新日本科学 【2395・プライム市場】

独自の創薬支援プラットフォームを確立 2029年3月期売上高経常利益率40%へ

 新日本科学は、1957年に鹿児島で創業した日本初の医薬品開発業務受託機関(CRO)だ。非臨床試験受託で国内シェア1位を占め、臨床試験の受託事業は米国大手臨床CROとの合弁会社を設立しグローバル展開している。経鼻投与製剤の開発にも注力しており、同社初の新薬承認を実施。永田良一会長兼社長は「先の先を読んで、先手を打つこと」を経営の鉄則とし、国内外で大型投資を進めている。中長期経営戦略では2029年3月期の売上高500億円、経常利益200億円、売上高経常利益率40%を目指す。
新日本科学 -永田 良一

永田 良一(ながた りょういち)

会長兼社長

1958年8月11日生まれ、鹿児島県出身。聖マリアンナ医科大学(医師)、鹿児島大学大学院(医学博士)、高野山大学大学院(密教学修士)を卒業。81年新日本科学取締役(非常勤)に就任。91年代表取締役社長に就任。2014年代表取締役会長兼社長CEOに就任。23年代表取締役会長兼社長 CEO兼CHO(最高健康責任者)兼水産事業掌握就任(現任)。

非臨床試験受託国内トップ
創薬支援プラットフォーム確立

同社は、製薬会社の医薬品開発を支援するCROのパイオニアだ。新薬開発のプロセスのうち、2つの大きな柱である非臨床試験(動物や細胞を用いた試験)と臨床試験(治験)の両分野を網羅的に受託できる国内唯一の企業として知られる。国内の主な製薬会社から試験を受託。また近年は海外顧客が40%近くを占めている。

同社の特徴の1つ目は、自社グループ内において、医薬品開発のために特別に繁殖された実験用の霊長類(Non‐Human Primate:NHP)の繁殖・供給体制を構築していることにある。

「医薬品業界では、研究開発のスピードアップと開発費用の効率化などを目的にCROへの外部委託が活発化しています。また近年、核酸医薬や次世代抗体医薬、遺伝子治療など創薬モダリティ(治療手段)の幅が広がっています。このような新薬の非臨床試験には一般的に使われているラットやマウスを用いてもヒトでの安全性を担保するには適さない場合が多く、NHPを用いる必要があります。こういった特殊な研究開発に対応できるCROは世界的に珍しく、他社が真似できない創薬支援プラットフォームを確立していることが当社の強みです」(永田良一会長兼社長)

2つ目の特徴は、米国大手臨床CROのPPD(2021年12月より医療機器グローバル大手Thermo Fisher Scientific社の傘下)とのジョイントベンチャー、新日本科学PPDが担う臨床事業だ。15年にPPDと合弁会社を設立した。海外の大手製薬企業から受託した国際共同治験の日本部分の実施を主力事業とし、受注が好調に推移している。

23年3月期の売上高は250億9000万円で過去最高を更新、営業利益52億4500万円は4期連続、経常利益91億9400万円は5期連続の過去最高益となった。

24年3月期は売上高が前期比21%増の303億6800万円、営業利益が同4・3%減の50億2000万円の見通し。米国の創薬ベンチャー「Satsuma Pharmaceuticals」(以下サツマ社)の買収に伴う一時的な費用として約16億円が発生することが減益予想の主因となっているが、その影響を除いた定常的利益は増益となるという。

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