帝国通信工業 【6763・プライム市場】

抵抗器やセンサー部品で高いシェアを誇る
技術生かして医療・ヘルスケアなど新領域へ

帝国通信工業は、電気の流れにくさを調整する部品「可変抵抗器」の大手メーカー。1944年の創業以来、AV機器、家電、車載スイッチと技術の向上とともに時代に合わせた電子部品を手掛けてきた。現在は、フィルム印刷と成型、プレス加工の3つのコア技術を生かしたゲーム機が売上を支える。今後は、非接触スイッチで高寿命な産業機器や生体センサーを生かした睡眠計測サービスなど、医療ヘルスケアでの新領域開拓に挑む。
帝国通信工業-羽生 満寿夫

羽生 満寿夫(はにゅう ますお)

社長

1958年生まれ。77年帝国通信工業入社。生産技術部長、取締役常務執行役員などを経て、19年に代表取締役社長就任(現任)。

ゲームコントローラーにも
内蔵される高い技術力

帝国通信工業は、電子回路の中で電気の流れにくさを制御する抵抗器やセンサー、スイッチなどの電子部品を製造する。抵抗器には、抵抗値が変えられる可変と抵抗値が変えられない固定の2種類があり、同社は両方を扱う。

同社のコア技術は、フィルム印刷と成型、プレス加工の3つだ。可変抵抗やスイッチの接点、パターンなどをフィルム印刷することで薄くし、加えて成型、プレス加工によりニーズに合ったカスタム製品を製造できる。この技術を用いて、多様な内蔵部品を手掛けている。

2021年3月期連結業績は、売上高120億2200万円、営業利益7億5500万円。製品別でみると、AV機器が21%、自動車が28%、家電が18%、ゲーム機を含むアミューズメントが21%、産業機器が9%、医療ヘルスケアが2%と多様な分野で活用されている。

コロナ禍では、巣ごもり需要によりゲーム機の売上が急速に拡大した。同社はコントローラーのスイッチや内蔵されたセンサーといった部品を手掛けている。国内二大ゲームメーカーに採用され、両社のゲーム生産台数の合計は年間4000万台以上。その大半のコントローラーで、左右合わせて2個の部品が使用される。

また、同社の固定抵抗器はエアコンや給湯器に利用される。特に、パワーが必要なところに使うセメント充填型固定抵抗器が主だ。パイプの周囲に抵抗器を取り付け、電流を加えることで発熱させ、凍結防止のヒーターとしても利用される。

海外でも中国、ベトナム、タイを中心に4カ所の生産拠点と北米を含む8カ所の販売拠点を有する。海外売上は46%を占め、「NOBLE」ブランドで知られる。

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