自分たちで事業を行う
「事業投資」モデル創出
ドリームインキュベータは、当時のボストンコンサルティンググループ(BCG)代表の堀紘一氏(現取締役ファウンダー)が2000年に設立した。当時BCGでコンサルタントとして活躍していた山川氏は、堀氏に声をかけられ同社の創業に参画。設立後は数多くのベンチャー企業のインキュベーションを手掛け、06年に社長に就任した。
戦略コンサルティング、ベンチャー投資、事業投資の3分野を展開する現在のビジネスモデルは、山川氏が社長就任後から手掛けたものだ。同社は02年にマザーズ上場、05年に東証1部に上場。06年当時、同社は戦略コンサルとベンチャー投資の2事業を展開し、06年3月期の業績は売上高約42億円、経常利益約19億円と好調だった。ただ、売上高の3分の2はキャピタルゲインであり、変動が大きいため、上場企業としては立ち行かないという思いに至ったという。
「投資したベンチャー企業が成功して売却し、利益を出しても売ってしまえばゼロですから、ゴーイングコンサーン(継続企業の前提)ではない訳です。結局、自分たちで事業をやっていかないとだめだということになり、『事業投資』というモデルを生み出しました」(山川隆義社長)
実際に事業会社を経営するため、11年、ペット保険のアイペットを買収。2012年3月には少額短期保険業者から損害保険会社に転換させるなど経営支援に注力した。その結果、アイペットは18年、東証マザーズに上場。買収当時は25億円の売上であったが、19年3月期には149億円に拡大し、売上比率7割を占める主力に成長した。
同様に、電子チケット販売のボードウォーク(非連結)に出資。出資時は赤字であったが、経営基盤やシステム構築等の経営支援を行って黒字化し、18年12月期には過去最高益を達成した。
「ペット保険に投資した時は周囲から『そんなところに投資して大丈夫か』と随分心配されましたが、今は非常に安定したビジネスになっています。電子チケットもデータ分析すると様々なビジネスを効率的に展開できます。ペットもアーティストも人間の心
を動かすもの。人々が飛び込んでくる分野であり、しっかり押さえていきます」(同氏)
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