クラウドセキュリティサービスでトップシェア HENNGE 【4475・グロース市場】

情報システム担当者の高い満足度獲得
25年9月期経常収益100億円目指す

HENNGEが提供するのは、企業のSaaS活用の安全性と利便性を支えるクラウドセキュリティサービス「HENNGEOne」。国内で約2700社が導入しており、マーケットシェアは1位だ。「一度使い始めたら、ほとんどの企業がやめない」サービス内容が特徴で、解約率はSaaSビジネスでも驚異的に低い0.27%である。契約社数が伸びる毎に翌年以降もサービス利用料が積み上がっていくため、売上高は4年連続で増収。同社では25年にARR(年間経常収益)100億円を目指し、着実な成長を続けている。
HENNGE-小林 遼

小林 遼(こばやし りょう)

執行役員CFO

1983年生まれ、大阪出身。監査法人にてキャリアをスタートし、2年間のUK駐在を含め、製造、物流、サービス業の監査等に従事。その後、外資系企業のリージョナルCFOを経て、2021年6月にHENNGEに入社。主にIRや財務会計業務に携わり、2022年10月に執行役員CFOに就任(現任)。

クラウドのセキュリティ面補完
売上・利益ともに過去最高更新

2023年9月期時点で同社の売上の92%を構成する「HENNGE One」事業は、企業がクラウドを利用する際の安全性と利便性を担保するサービスだ。24年4月時点で国内契約社数は約2700社、ユーザーは約240万人を数え、東証上場企業の16・8%が採用している。

多くの企業ではMicrosoft365、Google Workspace、Zoom、Slackといったクラウドサービスの導入が加速している。「HENNGE One」ではアクセス制御による不正アクセス対策や、複数のクラウドサービスのID統合、メールセキュリティサービスを提供。料金体系は、ベーシックプランで社員1人当たり月額600円のサブスクモデルとなっている。

「企業のクラウド導入は、誰でもどこからでも業務システムにアクセスできる点がメリットですが、その反面セキュリティへのリスクは高まります。『HENNGEOne』のアクセスコントロールは、『誰が』『いつ』『何の端末から』を管理・制限できる点が特徴です」(小林遼CFO)

同サービスでは許可が下りている端末で、許可が下りた状況でないとアクセスできない仕組みを作ることが可能。個人毎のアクセス制限は当然のこと、同じIDとパスワードを使っても出張先や電車内での利用は承認が必要、といった制限ができる。

またクラウドを活用する企業では、社員は何種類ものクラウドサービスを使用しており、それぞれでID・パスワードが発生する。ID統合機能は、出社時に「HENNGEOne」にログインすれば、全てのクラウドサービスでID・パスワードの入力を省略できる。

さらにメールセキュリティでは、脱PPAP(パスワード付zipファイル運用)、標準型攻撃対策、誤送信対策、メール監査など、クラウドメールを補完する機能を提供している。

「導入後は、全従業員にほぼ毎日使っていただくインフラになりますので、入るよりも抜ける方が難しいサービス特性があります。SaaSの解約率は5%以下だと優秀と言われますが、当社は0・27%。主な解約理由は企業の統廃合によるものなどです」(同氏)

解約率が低いため、サービス利用料が着実に積み上がっていく。売上は上場前から右肩上がりを続け、23年9月期の売上高は前期比20%増の67億7600万円、営業利益は同53・1%増の7億800万円でいずれも過去最高を更新した。売上総利益は同19%増の56億8000万円で、粗利率は83・8%と高水準を維持。今期も増収増益を見込んでいる。

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