自動車用製品事業が伸長
いまや全売上の約75%に
日本特殊塗料の2019年3月期の売上高は、594億円。そのうちの434億円を占めるのが、自動車製品関連事業だ。6年前の2013年3月期と比較すると、同部門の売上は全体の58%から73%へと大きく比率を高めており、会社全体の順調な売上高増加に寄与してきた。
「当社は、塗料事業と自動車事業を手掛けており、3分の1が塗料、3分の2が自動車です。1953年に自動車部門に進出しまして、1967年からはスイスのオートニウム社と技術提携をしております。自動車用は、防音・防錆塗料、制振材や吸・遮音材などを開発し、今では国内の全自動車メーカーと取引を行っております」(田谷純社長)
主力の自動車製品事業の売上を牽引するのが、自動車空間の快適性を高めるために欠かせない、自動車用吸・遮音材だ。取扱高は年々増加しており、前期は同事業のおよそ3分の2を売り上げた。これは、全売上高のうちの約5割に当たる。売上伸長の要因には、車が今や単なる移動手段ではなく、くつろぐための空間となりつつあるという現状がある。
車の防音に関しては、ロードノイズなど車外からの音を防ぐことと、エンジン音などの車室内の音を防ぐこと、この2つが重要となる。近年の技術革新によりエンジンやモーターは静音化が進み、一方ではEV(電気自動車)の普及で防音の必要性は減っていくのではないかとの声もある。しかし、「車外からのノイズは当然ありますし、今後は自動運転の導入などで、家のリビングと同じように車にはより快適な空間が求められるでしょう。音に関してより気になるという意味では、防音の需要は逆に増えることも考えられます。当社ではその両面を睨んで対処していくということになると思います」(同氏)
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