豊和工業 【6203・スタンダード市場】

工作機械関連、火器、特装車両、建材が主事業
「まもる」をテーマに、ものづくり徹する老舗

豊和工業は、110年超の歴史を持つ産業用機械の老舗だ。主力の「工作機械関連」事業では自動車部品製造ラインの設計・製造を行い、その他に自衛隊向けの小銃、スポーツライフルなどの「火器」事業、路面清掃車などの「特装車両」事業、防音サッシ・防水扉・防水板などの「建材」事業と特徴ある4事業を幅広く展開する。同社は近年の自動車電動化、社会情勢の変化などをチャンスと捉え、各事業で更なる成長に挑んでいる。
豊和工業-塚本 高広

塚本 高広(つかもと たかひろ)

社長

1954年生まれ、滋賀県出身。78年、豊和工業に入社。2003年、ホーワマシナリーシンガポール取締役社長。05年、取締役機械事業部工作機械グループ営業担当部長。16年、代表取締役社長に就任。18年より代表取締役社長兼事業部門長就任(現任)。

時代に合わせて4事業を展開
主力は自動車部品製造ライン

豊和工業の前身は、1907年に動力織機の製造を目的として創業した豊田式織機株式会社だ。現在は主に「工作機械関連」「火器」「特装車両」「建材」の4事業があり、対売上高比率はそれぞれ、35・6%、15・4%、14・5%、15・0%となっている。

全体の3割超を占める工作機械関連事業で同社が得意とするのは、自動車部品の製造ライン一式の設計・製造で、主に四輪・二輪用部品加工ラインが多い。これまでスズキやホンダ、SUBARUなどの完成車メーカーの国内外工場、Tier1以外の部品サプライヤーなど国内外の累計50社に納入してきた。

「ラインの受注は、新車種発表やモデルチェンジの3年ほど前からスタートします。図面に基づき、製品に要求される精度、年間製造個数から割り出した『サイクルタイム』(※1)などを実現することが重要です。求められる保証範囲は広いですが、その分1ライン当たりの利益は大きい」(塚本高広社長)

工作機械に次ぐ火器は、国内唯一の小銃メーカーである同社を代表する事業だ。戦前から旧日本軍の要請で小銃を納めていた歴史があり、現在も自衛隊向けに小銃や迫撃砲などの防衛装備品を製造する。

「小銃は64年に64式7・62㎜小銃を、89年に89式5・56㎜小銃、そして2020年には当社が開発したHowa5・56が20式5・56㎜小銃として陸上自衛隊に正式採用されました」(同氏)

加えて事業の安定化と更なる成長を目的に、1980年頃から海外市場向けスポーツライフルの事業も展開。米国では性能と品質の良さに定評があり、「Howa」ブランドが浸透しているという。

(※1)1つの製品の製造にかかる時間

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