巣ごもり需要の拡大を追い風に
食品事業売上高は昨対比107%
同社は2021年2月期第2四半期に持株会社へ移行し、イートアンドホールディングスとして新たなスタートを切った。文野直樹会長は「グループ経営はもちろん、個々の事業経営の権限と責任を明確化し、意思決定を迅速化する。更にグループ経営戦略機能を強化し、企業風土や事業内容にあった制度へ移行していくことが目的です」と狙いを語る。
今回の組織改編により、冷凍食品の製造や販売を行う「Eat&Foods」、ラーメン業態のFC本部及び店舗運営を行う「大阪王将」、ベーカリーカフェ業態のFC本部及び店舗運営の「R Baker」、レストラン業態の店舗運営の「A&B Co,Ltd」、海外FC本部及び店舗運営の「Eat&INTERNATIONAL Co.Ltd」、冷凍食品通販の「9 BLOCK」の6事業がそれぞれ独立して展開することとなった。
同社の第2四半期決算によれば、7月〜9月の売上高は、「大阪王将」を中心とした外食事業が、新型コロナの影響で昨年対比75.1%の53億円と不調だったのに対し、食品事業は昨対比107%の81億円と対照的な結果となった。同社は2011年の上場を機に、事業の柱を外食企業から食品メーカーへと転換。意識的にメーカーとして売上比率を上げてきた成果が出たわけだ。
「不要不急の外出自粛で巣ごもり需要が爆発的に伸びたおかげで、食品事業は過去にないくらい忙しい状況が続いています。工場の生産能力を順次引き上げていますが、今はそれでも生産が追い付きません」と、文野会長はうれしい悲鳴を上げる。
現在ではまだ、主力の冷凍餃子の生産がオーダーに100%応えられる段階になっていないこともあり、売上は昨年度を超えるところまで届いていないというが、「生産体制が整えば、外食事業の不調を完全にカバーできる水準までもっていけると踏んでいます」(同氏)
同社は1969年の創業以来、「大阪王将」を中心とした外食チェーン店として成長してきた。食品メーカーに立ち位置を変えた狙いは、「フランチャイズ(FC)に対する我々の考え方にも関係している」(同氏)という。
多くのFC本部は、「ノウハウやブランドの提供」や、「加盟店のフォロー」に注力している。しかし同社では加盟店に対して、「『売れて儲かるもの』を供給することこそ、本部が果たすべき最も重要な役割であり、使命だと考えています。つまり当社は『物流型本部』ということです。ノウハウやブランドももちろん大事ではありますが、それよりも売れる商品さえあれば、加盟店は儲かるんです。加盟店が儲かれば、本部もそれだけ売上が上がる。今度はその利益を、少しでも原価が安く、それでいて良い商品を作るために工場に投資する。そうすると、また加盟店が儲かる。これを継続していけば、本部が潰れることは絶対にありません。加盟店もものすごく安心できるはずです。だから我々は食品メーカーの立ち位置にこだわっているわけです」(同氏)
同社は食品事業の売上比率は、今後も伸ばしていく考えだ。「食品事業の売上が増えれば、まだ製造原価は下げられるはず。もちろん、外食事業も伸ばしていきますが、位置づけは食品事業の出口であり、同時に消費のニーズを掴むための窓口だと考えています」(同氏)
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