クイック 【4318・プライム市場】

専門職の人材紹介大手10期連続増収増益へ

医療や建設など専門分野での人材サービス事業を主軸に、採用支援サービスを行うリクルーティング事業や情報出版事業なども展開するのがクイック(4318)だ。需要が高い専門人材を武器に、前期(2019年3月期)は9期連続で増収増益を更新。今後は海外展開などにも注力し、前期の売上高191・7億円を、2022年3月期に261・7億円まで拡大させる。
クイック-和納 勉

和納 勉(わのう つとむ)

会長

1949年生まれ、関西学院大学法学部卒。76年に日本リクルートセンター(現リクルートホールディングス)入社。80年、クイックプランニング(現クイック)を設立し、同社取締役社長に就任。2005年に同社グループCEO就任、19年同社代表取締役会長に就任(いずれも現任)。

専門職紹介業が
売上の半数

クイックは、専門スキルを持つ人材を企業に紹介する「専門職人材紹介」を中心に、人材派遣、企業の採用支援、情報出版といった多岐に渡るビジネスを展開する会社である。前期業績は、売上高は前期比14・3%増の191・7億円、営業利益は同17・4%増の25・8億円。セグメント別に売上高をみると、専門職人材紹介事業を含む人材サービス事業は60%、リクルートメディアなどを通じて顧客企業の採用支援サービスなどを行うリクルーティング事業は20・7%、情報出版事業は10・3%、その他事業は9%となった。

主力である専門職人材紹介事業の対象範囲は医療、建築、製薬、自動車、電気、化粧品など9領域。成約すると、紹介した人材が受け取る年収の数十%を、企業から手数料として受け取る。前期売上高のうち、半数に当たる約90億円が人材紹介事業による売上となった。
 同事業の中で最も比率が高いのは、事業規模において国内2番手グループに位置する看護師分野だ。看護師の平均年収は約400万円で、成約時の手数料は平均20%程度。同業界全体の成長率は横ばいにも関わらず、クイックはマッチング精度の高さを武器に年々シェアを伸ばしている。

また、建築土木系の施工監理技術者分野では、業界トップクラスの紹介数を堅持する。同業界では、技士不足が喫緊の課題。技士の平均年収は600~800万円と高めにも関わらず、成約時の平均手数料は35~100%と高水準で推移している。

人材紹介の肝は、いかに優秀な人材を集めるか。そこで同社は、求職者獲得に向けて各業界の専門サイトを運営している。

例えば製薬業界向けサイト「Answers」では、求人情報の他に業界研究レポート、業界ニュースなど専門情報を掲載。看護師向けサイト「看護roo!」では、看護師用シフト管理アプリの提供や、看護師国家試験の過去問掲載などを行う。現職のプロが必要な情報を随時提供することで、サイトの周知を図る狙いだ。

「シフト管理アプリは130万回ダウンロードされており、ナースだけでなくご家族も活用されています。また試験対策を充実させることで、若い人たちへサイトの意識付けをしています」(和納勉会長)

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