国際紙パルプ商事 【9274・プライム市場】

大型M&Aで事業規模世界第3位
さらなる成長へグローバル経営確立

2018年に株式上場、国内外で紙・板紙・パルプなどの卸売業を手掛ける国際紙パルプ商事。19年にはオーストラリアの業界大手Spicers(スパイサーズ)、20年にはフランス最大手のAntalis(アンタリス)を傘下に加え、事業規模は世界第3位にまで浮上した。一方で市場はデジタル技術の発展やペーパレス化が進み、縮小傾向にある。しかし、同社は「パッケージ事業」など、新たな事業分野に取り組んでいる。今期から新中期経営計画がスタート。最終年度には売上高6500億円、営業利益145億円を掲げる。10月には持ち株会社化への移行も決定し、グローバル企業としての地位確立を進める同社の戦略を聞いた。
国際紙パルプ商事-栗原 正

栗原 正(くりはら ただし)

社長

1955年8月生まれ。79年、旧大永紙通商入社。2012年、国際紙パルプ商事執行役員就任。13年、同社上席執行役員就任。14年、同社取締役常務執行役員就任。17年、同社代表取締役専務執行役員就任などを経て、20年、同社代表取締役社長執行役員就任(現任)。

前期過去最高業績で着地
紙を主軸に事業は多角化

国際紙パルプ商事の2022年3月期連結業績は売上高が5634億1400万円。営業利益が93億7900万円。売上高、営業利益ともに過去最高業績となった。

同社のビジネスモデルは大別すると「紙・板紙製品の販売事業」と、第二次中計から新たに加わった「パッケージ事業」と「ビジュアルコミュニケーション事業」の4事業。

「紙・板紙製品の販売事業」は印刷用紙・情報関連用紙等や板紙を顧客のニーズに合わせて幅広く販売している。分野別売上構成では約7割を占める同社の主力事業だ。

全体売上の16・7%を占めている「製紙原料の販売および環境関連のソリューション事業」はパルプ・古紙の販売や古紙回収システムの提供などを行う。

「パッケージ事業」は仕入れた紙を顧客の要望に合わせデザインを施し、容器などの製品として供給する事業だ。売上構成で13・8%と紙販売に次ぐ、2番目に大きい事業となっている。

売上構成5・5%の「ビジュアルコミュニケーション事業」は内装や店頭広告などの視覚に訴えるビジネスと組み合わせた事業。カーラッピングなどに使用するメディアの供給などを行う。

今期から始まる第三次中期経営計画ではパッケージ事業とビジュアルコミュニケーション事業がカギになるという。

「デジタル化で紙媒体は減少し、市場は徐々にシュリンクしていく傾向にあります。一方で、eコマースの発達でパッケージの市場は堅調に伸びています。今までは仕入れた紙をダンボール会社や紙器会社に売るだけでした。これを、顧客ニーズに合わせ、デザインや加工を施して供給するエンドユーザーと結びつく事業ポートフォリオに変化しています」(栗原正社長)

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