高機能化学品メーカー 三洋化成工業 【4471・プライム市場】

基盤事業と成長分野の2軸へ
収益改善に向け投資領域を明確化

三洋化成工業は紙おむつに使われる高吸水性樹脂や、自動車シート材料であるポリウレタンフォーム用原料などの機能化学品を製造・販売している。2025年までの中期経営計画ではサプライチェーン改善、高付加価値製品への投資など改革を断行。高収益企業への成長を目指す。
三洋化成工業-樋口 章憲

樋口 章憲(ひぐち あきのり)

代表取締役社長兼執行役員社長

1959年11月生まれ、三重県出身。東京理科大学大学院修了後、84年三洋化成工業入社、サンノプコ出向。2012年サンノプコ代表取締役社長兼営業統括部長。14年三洋化成工業執行役員。15年常務執行役員石油・環境本部長。20年代表取締役兼執行役員副社長経営戦略部門担当。21年代表取締役社長兼執行役員社長(現任)。

5分野で3000種超の製品
ニッチトップ製品も多数所有

同社は機能や性能を付与した化学品である機能化学品を国内外の企業向けに製造・販売している。特許数は1000件を超え、国内外に10か所の生産拠点を持つ。海外売上高比率は44%。23年3月期の連結売上高は1749億7300万円(前期比7・7%増)となった。

手掛ける製品は「生活・健康産業関連」「石油・輸送機産業関連」「プラスチック・繊維産業関連」「情報・電気電子産業関連」「環境・住設産業関連他」の5分野。3000種類を超える製品を製造・販売している。「基礎化学品から、顧客の製品に“機能”を付与する付加価値の高い化学品を作るのが仕事。1949年の創業以来、フィールドを問わず幅広い顧客ニーズに応えてきたことで、現在のような幅広い製品群になったのです」(樋口章憲社長)

売上の33%を占めるのが生活・健康産業関連だ。78年に世界で初めて商業生産を開始したSAP(高吸水性樹脂)は、自重の数百倍~1千倍もの水を吸収する機能化学品。紙おむつなどの衛生品だけでなく、農業・園芸、食品・流通など多方面で使用されている。

石油・輸送機産業関連分野は売上28%を占める。自動車内装に使われるポリウレタンフォーム用原料や、エンジンオイル用潤滑油添加剤、塗装用樹脂など、自動車のあらゆる部分に同社の製品が使用されている。

売上の16%にあたるプラスチック・繊維産業関連では、樹脂に添加する永久帯電防止剤や、風力発電用風車の製造に欠かせない炭素繊維用集束剤などを製造・販売。売上の13%を占める情報・電気電子産業関連では、複写機やプリンターのトナー原料の大半を占めているトナーバインダーやアルミ電解コンデンサ用電解液を展開する。「エンジンオイル用潤滑油添加剤は国内市場シェアの約9割。ニッチトップ製品がたくさんあるのも特徴のひとつです」(同氏)

有料会員限定

続きを閲覧するには会員登録が必要です。
すでに会員の方は
ログインして閲覧してください。

ログイン 会員登録 SEARCH