業界初のアイデアを数多く実現
「関西の家電量販店」の存在感を示す
上新電機は家電量販店ビッグ7といわれる企業のひとつ。地域密着型の家電量販店「Joshin」を、関西を中心に国内218店舗(2024年3月末現在)展開している。またEC店舗「Joshin web」も運営。24年3月期の売上高は4036億9200万円、営業利益は83億6400万円となった。売上の内訳はリアル店舗事業が82・1%、EC事業が16・0%、その他が1・9%となっている(下図参照)。
同社は、創業約80年の歴史を持つ。第二次世界大戦終戦後間もない1948年、創業者の淨弘信三郎氏が西日本随一の電気街である日本橋筋に家電製品のパーツ店を開業。54年には家電専門店へと業態を転換した。店舗展開を進め、72年に大証第2部に上場。74年には業界初のテレビショッピングと無利息クレジットを開始し、幅広い顧客層に上新電機の名前が知られることになった。
80年代の同業界は、メーカー系列の街の電機店のマーケットを家電量販店が奪い、大きく成長してきた時期にあたる。同社も81年に関東への進出を開始し、85年には東証一部に上場。以後、89年には東海地区、92年には静岡地区へと進出し、出店数を拡大してきた。また81年にはパソコンなど情報機器専門店「J&P」、88年には玩具、楽器などエンターテインメント専門の「キッズランド」など時代に合わせた新ブランドも展開している。2002年には阪神タイガースの試合にて、セ・リーグ初の「ヘルメット広告」(Joshinロゴ)掲出開始。03年にはシーズンを通して、阪神タイガースのスポンサーとなった。18年には他社にさきがけて電子値札を導入した。
ところで、ほかの家電量販店が全国各地に店舗を展開している中、同社は関西・東海・関東・北信越の21都府県でドミナント出店を行っている。この背景には、家電量販店業界の再編がある。2000年代から10年代にかけ、各地で展開していた多くの会社が、全国規模の量販店の傘下に入っていった。しかし上新電機は他社と合併せず独自の道を進んできたため、業界再編前の時代から展開エリアを変えずに営業を続けている。
「関西にも有名な家電量販店がたくさんありましたが、当社単独で行きたいという思いを持っていて、生き残ってきた。今後も関西企業として頑張ろうと思っています」(金谷隆平社長)
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