やまみ 【2820・スタンダード市場】

圧倒的な量産化実現する豆腐・厚揚げメーカー
新工場稼働で関東圏に参入、大幅シェア拡大へ

やまみは、広島に本社を構える豆腐・厚揚げの量産メーカーだ。西日本を中心に高いシェアを持つが、2019年に富士山麓工場を新設し、首都圏でも攻勢をかける。業界でトップクラスの生産能力を強みに、安価でありながら、品質、原料にこだわった生産体制を築く。21年6月期の売上高は前期比7・7%増の127億9800万円、営業利益は同102・0%増の7億3200万円と内食需要も取り込み、成長を続ける。
やまみ-山名 徹

山名 徹(やまな とおる)

社長

1984年生まれ、広島県出身。2007年やまみ入社。12年、やまみホールディングス(現YMコーポレーション)代表取締役就任。やまみ常務取締役関西工場長、取締役副社長兼経営企画室長などを経て、21年9月に父・山名清氏(現会長)に代わり、代表取締役社長に就任(現任)。

量産化で固定費下げる
生産ラインは業界最速級

豆腐や厚揚げの量産メーカーのやまみは、本社のある中国・四国地方を始め、関西を地盤に「圧倒的な量産化」を強みに、売上を伸ばしてきた。同業界の平均生産能力は、売上高が100億円以上の上位5~6社でも1時間5000~7000丁。一方、同社では最も速いラインで1時間に1万2000~1万3500丁と業界でも最速レベルを実現している。豆腐製造の機械メーカーと共同で、より性能の高い機械づくりに挑戦しているという。

「量産化を進めることで、人件費など固定費はどんどん下がります。他社さんが148円、158円で売る商品が、当社では118円、特売で98円。これが、やまみの適正価格です。でも他業界、例えば飲料業界では1時間に4万~5万本を製造するのは当たり前。それに比べたら、当社も含め、この業界はまだまだですよ」(山名徹社長)

同社では大手小売店向けのPB(プライベートブランド)を含め、30~40種類の豆腐・厚揚げ製品を製造する。機械化により人間が非接触で製造できることで、充填豆腐などでは最長2週間の賞味期限を実現。また異物混入のリスクを減らせるなどの利点もある。

中食・外食のニーズが高まる中、注力するのが麻婆豆腐用やゴーヤチャンプルーなど、それぞれの用途に適したカット済み豆腐などの「高付加価値商品」だ。約6割は元々あるラインを作り変えて対応でき、総菜工場やコンビニのベンダー工場の手間を省くため、利益率も高いという。

また固定費を抑えた分、良い材料に投資し「禅豆腐 北海道とよまさり」シリーズ(全9品)も新発売した。「大豆の横綱」と言われ甘味があって美味しいが、豆腐にすると固まりづらい「とよまさり」という品種の豆を使用し、試行錯誤の末ラインで大量製造できるまでにこぎつけた。

「他社がやりにくいこと、取引先が困っていることを進んでやることにこそ、価値がある。また他社にはない製品なので外されることもない」と山名社長は話す。

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