昇降機専業のグローバルメーカー
フジテックのエレベーター、エスカレーターは世界中のオフィスビル、ホテル、複合施設、交通機関などに設置されている。
代表的な建物は、海外では建築家の丹下健三氏が設計したシンガポールの超高層ビル、ワン・ラッフルズ・プレイス(旧OUBセンター)や、ニューヨークタイムズの本社ビル、ニューヨーク・タイムズ・タワーなどが、国内では複合商業施設の六本木ヒルズなどがある。
国内の昇降機業界では、フジテックは三菱電機、日立製作所、東芝に次ぐ。3社は重電系の大手総合電機メーカーだが、同社は唯一の昇降機専業メーカーとしてシェアを維持している。
1948年、創業者の内山正太郎氏がフジテックの前身である富士輸送機工業を創業。63年には大阪証券取引所二部に上場した。
東京オリンピックが開催された1964年、「世界は一つの市場」の理念を掲げ香港に現地法人を設立。日本の昇降機メーカーではいち早く海外へ進出。香港を皮切りに、東アジア、南アジア、北米、南米、欧州と市場を拡大してきた。
「香港はもう60年近く、シンガポールも間もなく50年になります。それらの国々がこれから大きくなろうという時に進出しました。当時日本では、公団住宅でも5階くらいまではエレベーターが付いていなかった時代。一方海外では、高層ビルが建設され活況でした。そのため海外進出を目指したということです」(内山高一社長)
エレベーターは国によって多様なニーズがあると内山社長は言う。同社は世界23の国と地域に拠点を構え、1万人以上の従業員がいる。地域別では国内3000人、東アジア4700人、南アジア1700人、欧米が800人。約7割が現地スタッフで構成され、地域に根付いたグローカル経営で各国のニーズに対応している。
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