東京応化工業 【4186・プライム市場】

半導体製造用フォトレジストで世界シェア首位
2030年までに売上高2000億円目指す

今年設立80周年を向える東京応化工業は、半導体製造工程に不可欠な材料「フォトレジスト」の製造で世界シェアトップの企業。国内競合他社との熾烈な競争に晒されているが、創業80年で培った「微細加工」「高純度化」の強みを活かし、10年以内に現在の約2倍の売上高2000億円達成を目標としている。
東京応化工業-水木 國雄

水木 國雄(みずき くにお)

取締役

1985年東京応化工業入社。09年執行役員管理本部副本部長兼総務部長。12年執行役員総務本部長。13年取締役兼執行役員総務本部長。17年取締役兼常務執行役員総務本部長(現任)。

半導体に回路描くフォトレジスト
最先端の材料で世界シェア1位

あらゆる電子機器や電化製品に搭載されている半導体集積回路。これを構成する半導体チップの表面には、微細な線で引かれた回路が何層にもわたり張りめぐらされている。1ミリの1000分の1以下というこの微細な線を作り出すのに不可欠な材料が「フォトレジスト」だ。

同社はこのフォトレジストで世界シェアの約25%を持つナンバーワン企業。特に、現状で最も細い5ナノメートル(1ナノメートルは100万分の1ミリ)の線を描ける「EUV用フォトレジスト」では、約46%とトップシェアを持っている。

同社の売上の9割を占めるのは「材料事業」で、19年12月期の売上高は989億8600万円(前期比3.5%減)。この中の「エレクトロニクス機能材料」部門では、主に4種類の半導体用フォトレジストが製造される。フォトレジストはレーザー光など特殊な光を当てることで変化する性質を持っており、製品にはその光源の名前がついている。同社はEUV用だけでなく、g線・I線用(引くことができる線幅は350〜250ナノメートル)、KrF用(同250〜130ナノメートル)でも世界シェアトップとなっている。

フォトレジストの価格は、高価なもので1ガロン(約3.9リットル)1瓶で100万円を超えるものもある。半導体製造では微細な線を引く工程を何十回も繰り返すが、工程によって線の太さが違うため、EUV用以外の製品にも大きな需要がある。

「以前はどんな加工にも1種類の汎用フォトレジストが使われていましたが、現在は顧客企業である半導体製造会社の工場ラインの専用品を開発しています。製造する品目は増えますが、それがチャンスにもなっています」(水木國雄取締役)

半導体用以外にも、液晶ディスプレイ用や、より高性能な半導体チップを作る「高密度実装」用のフォトレジストなども製造。19年12月期のフォトレジスト関連製品の売上は582億4900万円(前期比0.9%減)となっている。

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