半導体製造に不可欠な検査装置
価格は1台数億~数十億円
2009年に99億円だった同社の時価総額は、15年に400億円超え。20年始めには4000億円と、5年で10倍になった。さらにその後も上昇を続け、夏には1兆円の大台を達成。リーマンショック以来11年で時価総額100倍と、企業価値を大幅に拡大させてきた。
同社は光を使った検査計測装置を開発、販売、メンテナンスをしており、売上高の8割以上が海外というグローバルニッチ企業だ。20年6月期の業績は、売上高は前期比48.0%増の425億7200万円、営業利益は同89.7%増の150億6200万円。売上高比率のうち約75%は半導体関連装置によるものだ。
中でも主力は、半導体製造時に使用される「マスク」と「マスクブランクス」の検査装置だ。人々の生活を支える電気製品や通信機器のすべてには、半導体チップが内蔵されている。半導体チップはシリコンウェハの表面に回路を焼き付けることで作られるが、この回路の原板にあたるのが「半導体用マスク」で、マスクを描くための板を「マスクブランクス」という。回路を正確に描くため、事前のマスクとマスクブランクスの検査は不可欠だ。
現在、同社の半導体用マスク検査装置の世界シェアは、ウェハファブ(半導体ウェハ工場)市場だけに限ると90%以上となっている。さらに半導体用マスクブランクス検査装置に関しては、2000年初め頃より100%の世界シェアを維持し、ライバルがいない状況だ。
製品の年間出荷台数は、1つの装置について数台、多くても20台程度だが、単価は極めて高い。検査装置の価格は1台数億円から十数億円で、中には40億円、またそれ以上の装置もある。こうした高価な装置の受注が伸びていることで、2021年6月期には800億円の受注を見込んでいる。20年6月期の販売先は台湾の半導体製造企業のTSMC、米インテル、韓国の三星の3企業で全売上高の約70%を占める。
「検査装置は、半導体の微細化が進むごとに、より微小な欠陥を検査できるようバージョンアップを繰り返したことで、価格も上がってきた。また、当社の技術陣が直接顧客から将来のニーズを聞き出し、それに基づいて、スピーディーで付加価値の高い製品開発を続けています」(岡林理社長)
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