ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング 【7774・グロース市場】

再生医療のパイオニア、自家培養表皮など提供
24年3月期黒字化、26年3月期売上高50億円へ

ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングは、日本の再生医療のパイオニアだ。患者自身の細胞を採取して培養する「自家培養」の手法を用いた再生医療等製品の製造販売をいち早く確立したことを強みとし、重症のやけどの治療に使う自家培養表皮など4品目の再生医療製品を上市(発売)している。近年は研究開発に注力しており、2022年3月期は赤字の見込みだが、現中期経営計画期間中に新たに4品目の承認を見込む。24年3月期の黒字化、26年3月期の売上高50億円達成を目指している。
ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング-畠 賢一郎

畠 賢一郎(はた けんいちろう)

社長

1964年8月生まれ、愛知県出身。91年広島大学歯学部卒業。95年名古屋大学大学院医学研究科博士課程修了。2004年ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング入社、研究開発部長に就任。取締役、常務取締役などを経て17年、代表取締役社長、19年代表取締役会長に就任。20年代表取締役社長に就任(現任)。

再生医療の産業化目指し設立
国内第1号「ジェイス」開発

ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングは、「再生医療をあたりまえの医療に」をビジョンとする。再生医療は、病気やけがで機能しなくなった細胞や臓器を新しいものに置き換える治療法であり、1999年に小渕政権で進められた技術革新支援策「ミレニアムプロジェクト」をきっかけに注目を集めた分野だ。

自分の細胞を培養した組織を移植する場合、免疫拒絶を受けない、感染症の心配がないなどのメリットがある。この「自家培養」の技術を広く社会に役立てようと、同社は再生医療の産業化を目指して設立された。

同社は、国内の再生医療等製品の承認第1号と第2号を世に送り出したパイオニアだ。2007年に承認された自家培養表皮「ジェイス」は、人間の体の約30%以上をやけどした「重症熱傷」を適応対象とする。重症熱傷の患者が病院に運び込まれると、病院から同社に連絡が入り、専用のキットを使って患者の皮膚の一部が同社の工場(愛知県蒲郡市)に運ばれる。工場では約3週間かけて皮膚を培養し、安全管理を徹底した輸送システムで病院に届ける仕組みだ。

「重篤なやけどの患者さんに対応できる病院は全国に約100カ所あり、そのほぼすべての病院の先生方にジェイスを知っていただいています。培養細胞は生きているので、皮膚の場合、56時間以内という使用期限があります。当社は培養組織を確実に届けるための仕組みを自社開発しており、輸送のミスが極めて少なく提供しています」(畠賢一郎社長)

国内第2号の自家培養軟骨「ジャック」(12年承認)は、スポーツでの負傷に多い膝関節の外傷性軟骨欠損症などに適応されている。また20年には眼科領域で国内初の角膜上皮「ネピック」、21年には同じく眼科領域の「オキュラル」が承認され事業を拡大している。

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