メディネット 【2370・グロース市場】

免疫細胞治療用の加工受託19万件超 25年黒字回復へ、新規事業育成も課題

 メディネットは、創業28年を迎える老舗のバイオベンチャーだ。がん免疫細胞治療などに用いられる細胞加工物の開発、製造受託や再生医療等製品の研究開発を行い、加工実績は累計19万件以上に上る。現在は収益の柱となる「細胞加工業」と、今後収益化が期待される「再生医療等製品事業」の2セグメントを展開。2025年9月期の黒字回復へ向けて、既存事業の強化を加速させている。22年に社長に就任した久布白兼直社長に話を聞いた。
メディネット-久布白 兼直

久布白 兼直(くぶしろ かねなお)

社長

1960年7月生まれ、東京都出身。83年慶応義塾大学経済学部卒、三菱化成工業(現三菱ケミカル)入社。2005年三菱ウェルファーマ(現田辺三菱製薬)営業本部関西圏エリアマーケティング部長。08年田辺三菱製薬 営業本部製品育成第1部長。17年同社グループ理事、吉富薬品代表取締役社長。18年同社グループ理事 天津田辺製薬有限公司総経理。20年メディネット取締役。22年代表取締役社長(現任)。

医療機関向けビジネス
売上高の約66%占める

同社の事業セグメントは、「細胞加工業」と「再生医療等製品事業」の2つ。収益の柱となる「細胞加工業」は、3つの事業に細分化される。

1つ目は、医療機関向けの「特定細胞加工物製造業」。これは、医療機関からの委託に基づき、採取された患者の細胞から、再生・細胞医療で用いる治療用の細胞(特定細胞加工物)を製造する。料金は1件平均約20万円で、製造件数に応じた委託料を受領するビジネスモデルだ。同事業が売上構成比の66・76%を占める。

2つ目は、製薬企業・大学医療機関向けの「CDMO事業」。再生医療等製品の治験製品、承認取得後の製品の製造受託をはじめ、実用化に係る各種業務を受託する。売上構成比は8・59%。3つ目は、「バリューチェーン事業」。細胞加工関連プロセスから派生するノウハウや、サービスの提供、技術のライセンスアウトなどで対価を得る。売上構成比は24・64%。

同社は今年創業28年目を迎える。設立当時、まだ世の中に浸透していなかった再生医療の中で、免疫細胞治療(囲み記事参照)にフォーカスし事業化に着手した。99年には研究所を開設。がん免疫細胞治療の専門医療機関・瀬田クリニック向けの細胞培養施設を設置し、免疫細胞療法総合支援サービスを開始。法改正後は「特定細胞加工物製造業」として提供を続けている。

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