オハラ 【5218・スタンダード市場】

光学ガラスのグローバルメーカー
半導体向けシフトで再成長狙う

オハラは「ひかる素材で、未来をひらく」をテーマに、カメラなどのレンズに使用される「光学ガラス」を製造・販売する専門メーカーだ。世界最高レベルの天体望遠鏡や人工衛星などにも採用されており、品質の高さで世界的信頼がある。近年はデジタルカメラ(デジカメ)の急激な落ち込みにより、余剰製造設備活用などの構造改革が急務。半導体製造装置向けなど高付加価値製品へのシフトで再成長軌道を目指す。
オハラ-齋藤 弘和

齋藤 弘和(さいとう ひろかず)

社長

1959年9月生まれ、神奈川県出身。82年専修大学法学部卒業後、オハラ入社。98年経営企画部長。2003年取締役。05年常務取締役。09年代表取締役社長に就任。13年代表取締役社長光製品事業部長兼光製品関連子会社統轄。16年代表取締役社長執行役員、経営全般(現任)。

カメラから天体望遠鏡、ロケットまで
半導体装置レンズ用特殊ガラスも

高透明度かつ高精度

「光学ガラス」とは、カメラのレンズなどの光学素子に使用されるガラスのこと。一般的なガラスとは違い、透明度がきわめて高く屈折率を高精度に調整したガラスだ。オハラは世界的な光学ガラスメーカーの1社で、幅広い産業に向け精密で特殊なガラス材料を提供している。

同社は2つのセグメントで事業を展開。「光事業」では、レンズ交換式カメラやTVカメラ、車載カメラ、内視鏡など、光学機器に使われるガラスを製造する。「エレクトロニクス事業」では、半導体露光装置に使われる高均質ガラスや低膨張ガラスなどの特殊ガラス、石英ガラスを製造している。

海外では台湾、中国、マレーシアに製造と販売拠点、香港、ヨーロッパとアメリカに販売拠点を持つ。

最先端科学の一端担う

同社の強みは、創業以来培われてきた光学ガラスづくりの技術と、顧客ニーズに合わせた小回りの効く開発力にある。同社は150種類もの光学レンズ用ガラス製品を持ち、それを元に顧客の要望に適合したガラスを開発、提供している。また、広い温度範囲で膨張・収縮しない極低膨張性ガラスや、耐放射線光学ガラスなどの高性能な特殊ガラスを独自で開発してきた。

これらのガラスの中には、国立天文台ハワイ観測所に設置されている「すばる望遠鏡」の主焦点カメラ用レンズとして採用されているものも。また、ハワイとチリに建設予定の次世代超大型天体望遠鏡「TMT」と「GMT」のどちらにも、主鏡として同社の特殊ガラスが採用されている。「ガラスの市場は世界で約400万tと言われています。その中で光学ガラスは、約3万t程度というニッチな産業です。しかし、当社のガラスがないと内視鏡や顕微鏡が作れない、宇宙に衛星を飛ばせないとおっしゃるお客様がいます。この供給責任はしっかり果たしていきたい」(齋藤弘和社長)

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