ベアリングの世界的メーカー NTN 【6472・プライム市場】

事業体制改革し補修市場向け拡大へ
2035年度までに構成比40%目指す

NTNは「『なめらかな社会』の実現」をキーワードに、機械全般に欠かせないベアリングの製造で世界的なシェアを持つ会社だ。また自動車のタイヤの回転を支えるハブベアリング(アクスル)、動力源からタイヤへと動力を伝えるドライブシャフト(CVJ)の製造・販売でも世界トップクラスのシェアを誇る。近年では、利益率向上のためアフターマーケット(補修市場)向けビジネスの拡大に取り組む。組織のフラット化や在庫見直しなどの改革を断行し、現在17%のアフターマーケット向けビジネスの売上を2035年度までに40%まで拡大する計画だ。
NTN-鵜飼 英一

鵜飼 英一(うかい えいいち)

社長

1957年2月生まれ、兵庫県出身。80年NTN入社。2005年品質管理部長、11年執行役員。14年常務執行役員、17年取締役(現任)。19年執行役常務。21年執行役社長(現任)。

自動車向け部品製造でトップクラス
OEM製品が売上の半分占める

NTNはベアリングの製造で世界シェア上位の一角を占めている企業だ。ベアリングの5大メーカーと言われるのがスウェーデン・SKF社、ドイツ・シェフラー社、アメリカ・ティムケン社、日本・NSK(日本精工)、そしてNTN。この5社で世界のベアリングの約7割を製造している。

ベアリングとは、機械の中の軸をなめらかに回転させる部品。軸の回転を支えることから、軸受(じくうけ)とも呼ばれる。ベアリングを使用すると回転時の摩擦が減らせるため、電気やガソリンなどのエネルギーロスを大きく低減できる。輸送機器をはじめ、世の中のあらゆる機械に使用されていることから、「産業のコメ」と称されることもある。

同社が製造する製品の中でも、自動車のタイヤの回転を支える「ハブベアリング(アクスル)」は世界トップクラスのシェアを占める。

また、ベアリングのしくみを応用してエンジンやモーターの回転をタイヤに伝える部品である、自動車用の「ドライブシャフト(CVJ)」でも、世界シェアトップクラスとなっている。


▲国産化に成功したベアリング(1923年)

▲ドライブシャフト(上)とハブベアリング

 
それ以外にも建設・農業などの産業機械、ロボット、航空機、風力発電などさまざまな用途で使われるベアリングやドライブシャフトを製造している。世界34カ国に200以上の拠点を持ち、従業員数は世界で2万人以上。海外売上高比率は約70%だ。

2024年3月期の売上高は8362億円(前期比8%増)、営業利益は281億円(同64・2%増)となった。売上の65%は自動車市場向け製品で、うち8割を、前述した自動車向けハブベアリングと自動車向けドライブシャフトが稼ぎ出す。この2つは主に自動車メーカーへのOEM(相手先ブランド名製造)の形で生産・販売されている。

「自動車向けハブベアリングとドライブシャフトは、エンジン車からEVに代わっても継続して使われる部品です。そしてEVではより強さや耐久性、省エネルギー性が要求される。そこはまさしく当社が技術で勝負できるところです」(鵜飼英一社長)

他に、産業機械市場向け製品の売上が約18%、アフターマーケット向けの売上が17%を占める。

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