オンライン生命保険のリーディングカンパニー ライフネット生命保険 【7157・グロース市場】

不満を逆手にシンプルで低価格の保険を創出
団信事業が好調、新CMでブランド再構築へ

ライフネット生命保険は「保険料が高い」「内容が複雑」といった保険にまつわる不満を払拭すべく、2008年に日本生命出身の出口治明氏らが設立した業界初のオンライン生命保険会社だ。内容や価格が消費者に高く評価され、数多くの生命保険会社ランキングで1位に輝く。24年5月に発表した中期計画では、リブランディングや団体信用生命保険事業を推進。25年度を目途にプライム市場上場、28年度の包括資本2000億~2400億円を目指す。
ライフネット生命保険-森 亮介

森 亮介(もり りょうすけ)

社長

1984年生まれ、愛知県出身。2006年に京都大学法学部を卒業後、07年ゴールドマン・サックス証券入社。投資銀行部門において、生命保険会社を含む金融機関に対する財務アドバイザリー業務に従事。12年にライフネット生命保険に入社。企画部長、執行役員、取締役を経て、18年代表取締役社長に就任(現任)。

数多くの生命保険ランキングで1位
企業価値表す包括資本は約10年で7倍強

ライフネット生命保険は、インターネットで見積もりから契約までが完結する「オンライン生命保険」のパイオニア企業だ。2008年の始動以降、革新的な商品やサービスで急成長。近年では、実際に契約・更新手続きをした消費者が評価する「J.D.パワー生命保険契約満足度調査」のダイレクト型チャネル部門で4年連続第1位、25年オリコン顧客満足度Ⓡ調査における生命保険ランキングで総合第1位を獲得するなど、確固たる地位を築いている。

 
24年3月期の連結業績は、売上高にあたる「保有契約年換算保険料」が前期比19・6%増の287億5000万円、営業利益にあたる「保険サービス損益」が同24・2%増の82億2200万円。企業価値を表す「包括資本」は24年12月末時点で1652億2900万円となった。


※1:EEVとは、評価時点の純資産価値に保有契約が将来生み出す利益の現在価値(保有契約価値)を加えることにより計算される。同社では2023年度から、EEVに代わりIFRS(国際財務報告基準)を適用。それにともない、「IFRS資本」・「CSM(税調整後)」・「団信契約価値」の3つを合計した包括資本(CE)を企業価値を表す指標に変更した。

 
展開するセグメントは生命保険事業のみ。同社の保険商品は複雑な特約や配当を設けず、低価格、かつシンプルでわかりやすいのが特徴だ。現在は大きく分けて6種類を展開。死亡時や高度障害者になった場合に保険金が支払われる「定期死亡保険」、終身型の「終身医療保険」、定期型の「定期医療保険」、がん治療・がん治療にともなう収入減少などを保障する「がん保険」、病気やけがで長期間仕事ができない時に備える「就業不能保険」、そして24年4月からエーザイと共同で開発した、認知症や軽度認知障害(MCI)の早期発見・早期治療をサポートする「認知症保険be」がある。

全商品の契約者数は約62万人。売上にあたる保有契約の内訳は、定期死亡保険が49%、終身医療保険が27%、がん保険が11%、就業不能保険が11%、その他1%となった。

そのほか、パートナー企業と共同開発した金融商品も手掛けている。そのひとつが、23年7月から新事業としてスタートしたauじぶん銀行の団体信用生命保険(以下団信、囲み記事参照)だ。ライフネット生命保険は、同銀行の住宅ローンに付随する生命保険サービスを提供している。
 

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