ファーストコーポレーション 【1430・スタンダード市場】

不動産・建設の2段階収益で高利益率確保
設立から10年節目に新たな事業領域へ

低金利が続いていることもあり、首都圏のマンション市場は依然として堅調だ。2020年はコロナ禍の影響があったものの、2021年上半期のマンション供給件数は前年同期比77.3%増と回復傾向にある。ファーストコーポレーションは首都圏を中心に中規模分譲マンションの開発・建設を行っている。10月に発表された2022年5月期第1四半期決算では、売上高が前年同期比169%増の100億6800万円、営業利益が同446.5%増の6億2100万円の大幅増収増益を達成。通期業績予想も増収増益を見通している。設立から10年の節目を迎え、新たな事業領域に踏み出す同社の中村利秋社長に話を聞いた。
ファーストコーポレーション-中村 利秋

中村 利秋(なかむら としあき)

社長

1950年11月21日生まれ。1979年5月、中村美装取締役。1982年10月、ナカワ工業(現ファーストカルデア)設立。1990年2月、ランドワークス社長。2007年5月、中村設立(社長現任)。2011年6月、ファーストコーポレーション設立、代表取締役社長。2021年4月、同社代表取締役社長兼開発事業部長(現任)。

企画から建設まで一貫受託
「造注方式」が好採算性支える

首都圏を中心に1棟200戸程度の中規模分譲マンションを建設する同社の強みは、業界では珍しい「造注方式」の採用だ。これは自社で資金調達し土地を取得、建設プランを作成して、不動産会社などに売却し、受注する方式。同社は市場調査から用地取得計画、企画を自社で行い、大手ゼネコンに用地取得を含む事業企画を持ち込む。そこで合意が得られたら正式に対象用地を取得し、大手ゼネコンに売却する。

「特命で既存建物の解体工事から新たな建物の建設までを一貫で請け負うので、1つの案件で不動産と、工事の2段構えで利益を生み出せる。こちらから計画を持っていくので、通常の入札方式に比べて計画も工事もこちらで主導権を握りやすいメリットがあります。さらに工事代金の支払い条件についても交渉できるので、代金回収まで時間がかかりすぎないようリスク分散をすることが可能です」(中村利秋社長)

この「造注方式」を支えているのは、同社の開発部隊だ。

「当社は『土地を制する者は全てを制する』という考えで、用地開発・企画こそが生命線ととらえております。実際、当社の営業は3人ほどに対して開発は20名を抱えています。開発分野では大手ディベロッパーが競合にあたりますが、大手ディベロッパーは意思決定にどうしても時間がかかってしまいます。その点、我々はスピーディーに決定ができる」(同氏)

年によって変動はあるものの、「造注方式」は全体の工事件数の半分以上を占めているという。

「今後も土地や建設のノウハウを持つ人材を確保しながら情報網を広げ、この分野を着実に伸ばしていきたい」(同氏)

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