個人株主の存在感低下
機関投資家が市場を占有
日本はバブル崩壊後、海外の大口機関投資家が市場を占有し、企業にとって最良の長期安定株主である個人投資家の存在感が低下した。一方で上場企業は外国ファンドなどからの買収や様々な圧力のリスクにもさらされている。
そこで、こうした課題に対応して、同社が独自に開発したサービスが、個人投資家向けプラットフォーム「プレミアム優待倶楽部」と、企業向け株式保有情報プラットフォーム「IR─navi」だ。
同社の2019年度の売上高は前年度比54・4%増の17億9300万円、営業利益は181・7%増の3億1000万円。うち「プレミアム優待倶楽部」事業の売上高が前年度比82・4%増の12億2500万円と7割近くで「IR─navi」事業が2億6000万円。 また主力サービス以外には、IRコンサルティングを行う「ESGソリューション」事業も展開し、売上は2億8600万円となっている。
ポイントを自由設計
投資家の動向を促す
「プレミアム優待倶楽部」は上場企業の株式ポートフォリオの最適化を支援する目的から誕生した。
同サービスを導入した企業は自社の株主に対し、ポイント付与という特典によって航空会社のマイレージ会員のように囲い込みができる。これを利用する個人株主は配当や優待に加えてポイント付与のメリットがある。現在は時価総額が数百億円の新興企業を中心に43社が導入している。
多くの上場企業は配当や優待によって個人投資家に自社株を所有するメリットをアピールし、その人数・持ち株数を増やそうとしている。しかし配当取りやクオカードが目当ての短期保有が多いのが実情だ。その上、最低単位株の個人株主ばかりが増え、本来目指している層の拡大に結び付かないという問題もある。
「プレミアム優待倶楽部ではポイント還元率を自由に設計できます。例えば『長期で自社株を保有してほしい』『もっと保有株数を増やしてもらいたい』『議決権の電子化を進めたい』など企業によってニーズは様々です。これらにポイント還元でインセンティブを付けることで、株主の動向を一定方向に促すことができます」(杉本光生社長)
ポイントで交換できる商品は5大シャトーのワイン、高級和牛など高額品を中心に約4400種類用意。ポイントは合算して様々な商品と交換できる。また同サービスを導入する他社の株保有で得たポイントも合算して使用でき、まさにマイレージ同様だ。
「安定株主層の多い50代以上の富裕層に合わせた品揃えが人気ですが、投資家に魅力なのは実質利回りのアップ効果です。株配当に加え、ポイント付与によってさらに実質利回りが増え、2%台だったのが計算上4%にアップすることもあるからです」(同氏)
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