ホルモン軸に新薬を数々創出
産婦人科領域の国内トップに浮上
あすか製薬ホールディングス子会社のあすか製薬は、「ホルモン」にまつわる疾患を治療する医薬品に強みをもつ製薬会社だ。100年以上にわたる研究で得た知見を軸に、ホルモンを抑制、あるいは補充することが治療につながるような産婦人科領域や甲状腺領域、泌尿器科領域で医薬品を生み出してきた、ホルモン製剤のパイオニアでもある。
あすか製薬HDの2024年3月期業績は、売上高が前期比3・9%増の628億4300万円、営業利益は同27・3%増の65億円で過去最高を更新。売上高をセグメントでみると、「医療用医薬品事業」が89・1%、「アニマルヘルス事業」が10・6%、「検査事業」が0・3%となる。
主力となる医療用医薬品事業の売上をさらに分野別で分けると、産婦人科領域が43・5%、内科領域が25・8%、泌尿器科領域が7・4%だった。医療用医薬品は大きく分けて「新薬」と、新薬の特許が切れた後に製造販売される「ジェネリック医薬品」がある。新薬の平均開発期間は9~16年、費用は数百億~数千億円規模にも及ぶにもかかわらず、実際に新薬として発売できる成功確率はおよそ2万5000分の1と低い。一方ジェネリック医薬品の平均開発費用は3~4年で、費用も数億円に留まる。新薬開発はジェネリック医薬品に比べてハイリスク・ハイリターンとなるが、あすか製薬は新薬にこだわりを持つ。
「薬がない領域に新薬を出して、患者さんに貢献したい思いを持っています。また、新薬開発のリスクは高いですが、成功すれば利益率は高く、さらに薬価改定による価格下落の影響もジェネリック医薬品より低いというプラスの側面もあります。ここ数年は顕著に市場が伸びている月経関連疾患に新薬を出すことができ、それらが売上に大きく貢献しています」(山口惣大専務)
同社の製品群における新薬・ジェネリック医薬品の比率は、現在およそ半々となる。産婦人科領域では、子宮筋腫・子宮内膜症治療薬の新薬「レルミナ」は発売から5年で年間売上100億円超を見込む。月経困難症治療薬ではジェネリックの「フリウェル」、コ・プロモーション(複数の企業による共同プロモーション)中の「ジェミーナ」に続き、22年にジェネリックの「ドロエチ」を1社単独で発売。これら3製品で、月経困難症治療薬(LEP製剤)の国内シェア51・6 %を獲得している。また新薬である不妊症治療薬「ルテウム」も、22年4月から保険適用になったことで大きく伸びた。こうした状況から、同社は前期に産婦人科領域で国内シェア3割強となり売上首位に躍進した。
また、甲状腺機能低下症治療薬「チラーヂン」をはじめとした甲状腺領域は、現在国内シェア95%に上る。
アニマルヘルス事業では、繁殖用ホルモン剤や飼料用添加物など家畜・ペット向けの医薬品を開発。検査事業では、毛髪ホルモン量測定キットなど、ホルモン関連の検査キットの開発を行う。いずれも、医薬品事業で培った知見を基盤としている。
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