ワコム 【6727・プライム市場】

ペンタブレットの世界シェア圧倒的首位
好業績で中計前倒し、技術深化で新段階へ

ワコムは自社ブランドのペンタブレット製品を開発する他、スマホメーカーなどに同技術をOEM供給する会社だ。技術力に定評があり、映画・アニメのクリエイターなどプロ向け市場では世界シェアトップのマーケットリーダーである。2021年3月期はペンタブレットの需要増も手伝い、業績過去最高を更新。22年3月期終了予定の中期経営計画を1年前倒しで達成したため、21年5月に新中期経営方針「Wacom Chapter3(ワコム第3章)」を発表した。
ワコム-井出 信孝

井出 信孝(いで のぶたか)

社長

1995年シャープ入社。2013年ワコムに入社し、コンポーネント事業本部ジェネラルマネージャーに。その後、テクノロジーソリューションビジネスシニア・バイスプレジデント、取締役などを経て18年に代表取締役社長兼CEOに就任(現任)。21年、一般社団法人コネクテッド・インク・ビレッジ代表理事に就任。

ペンタブレットのパイオニア
プロ市場で世界シェア独占

1983年創業のワコムは、翌年に世界初のコードレスペンタブレットを発表し、以来同製品の開発を進めてきたパイオニアである。 

ペンタブレットとは、付属のデジタルペンなどでタブレット上に絵や文字を描くと、デジタルデータとして記録できるもの。筆圧などはセンサーが読み取り再現するため、鉛筆やペンと変わらない感覚でデジタル空間に描けるのが魅力のひとつだ。

ワコムが持つ製品群を大きく分けると、デジタルペンと板状のタブレットをPCに接続し、描いたものがPC上に表示される「ペンタブレット製品(板タブ)」と、液晶パネルに直接描く「ディスプレイ製品(液タブ)」の2タイプ。どちらも初心者向けからプロ向けまで幅広いモデルを展開しており、趣味用途はもちろん、教育現場や自治体での電子サイン、医療カルテ用など様々なシーンでも利用される。

特にアニメやゲーム、映画、工業デザインなどに携わるクリエイターの間では、繊細な書き心地や扱いやすさなどで圧倒的な人気を誇る。

「90年には、米ディズニーの映画『美女と野獣』の制作で使用されました。その後もディズニーさんをはじめ、米ネットフリックスさんや『シン・エヴァンゲリオン』のスタジオカラーさんなど、多くの制作現場で使用されています」(井出信孝社長)

ワコムの製品は、これまでに世界150カ国以上で販売されてきた。井出社長によると、プロ向けのペンタブレット市場で世界シェアトップのマーケットリーダーとなる。

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